米Intelが,通信プロセサ部門での覇権に向けて着実に歩を進めている。同社は,通信プロセサの分野で米IBM米Motorolaという,かつてマイクロプロセサで争った半導体ベンダと再び相まみえている。2002年に3億ドル規模(米IDC調べ)あるいは2003年までに10億ドル規模(米Dataquest調べ)に成長するといわれる市場をめぐって主導権争いをまさに演じる最中だ。

 先日来日したIntel社のNetwork Communications Groupでマーケティング・ディレクタを務めるSusan Tauzer氏は,「Intel社は通信プロセサの分野で,米IBMや米Motorolaといった強力なライバルと競合するのは確かだが,Intel社の強みはユーザに提供できるラインアップの幅」との発言を行った。そして今日もまた,ラインアップの拡充策を打ち出した。

 米国時間3月21日に,米Basis Communicationsを買収することで両社が最終合意に達したことを明らかにしたのだ。買収金額はおよそ4億5000万ドル。Intel社はこの買収で通信関連部品や通信ソフトウエアのラインアップを補完し,ネットワーク・プロセサ事業を拡充する。

 Basis社は,SOHOや中小企業をターゲットにしているスイッチやcustomer premise equipment (CPE)に向けた,ネットワーク・プロセサと関連ソフトの設計/販売を手掛けるベンダである。

 「Basis社買収によりIX(Internet Exchange)アーキテクチャのネットワーク・プロセサを拡充し,家庭用ゲートウエイやルータなどCPE用途に向ける」(Intel社Network Processing Group副社長兼ジェネラル・マネージャのTom Franz氏)。IXアーキテクチャに関しては,「Intelがネットワーク・プロセサ・アーキテクチャ「IX Architecture」発表」を参照されたい。

 ネットワーク・プロセサ以外にもBasis社は,wide area network (WAN)やシリアル・コミュニケーション,PCカード,インタフェース・コントローラなどに関する技術をIntel社に提供することになる。Basis社はIntel社の子会社となり,Intel社Network Communications Groupに組み込まれる。

 ちなみにIntel社は先週も,光通信LSIのGIGAを12億5000万ドルで買収したばかりである。このところのIntel社の通信関連分野における買収劇は「【x86ウォッチ】パソコンの次は通信分野,Intel社の買収劇」の詳しいので参照されたい。

[発表資料]