米Sprintが米国時間12月20日に,英Jaguar Carsの米国子会社Jaguar Cars North Americaとテレマティックス・システムの提供に関し,提携関係に入ったことを明らかにした。Sprint社は,Jaguar全車種の2001年モデルに,無線音声/データ・ソリューションを提供する。

 Sprint社は,Jaguar「S-TYPE」に標準装備される無線通信サービス「Deluxe Communication Package」の独占プロバイダとなる。また,S-TYPE以外の全車種でオプションとして提供される無線通信機能向けのサービスも提供する。こちらはSprint社のほかにすでに2社がサービスの提供で提携しており,Sprint社は3社目となる。

 Jaguarの「Deluxe Communication Package」は,携帯電話を備え付けるコンソール,音声対応機能を備えた制御システム,ナビゲーション・システム,緊急時救援用メッセージング・サービス「Jaguar Assist」(4年分)などから成る。

 「Deluxe Communication Package」をはじめ,Jaguarの無線通信パッケージには,米Motorolaの携帯電話機「Timeport P8167」が含まれる。音声コマンドによる発信機能のほか,発信者番号通知やボイス・メール機能を備える。

 Sprint社の音声対応制御システムは,「業界に先駆けて」(Sprint社)S-TYPEの2000年モデルに装備している。音声コマンドによって,車内の温度調節やオーディオ・システム,携帯電話などが操作できる。

 Sprint社はJuguarの顧客に音声対応情報サービス「Sprint PCS Voice Command」へのアクセスも提供する。登録ユーザーは,「#」+「Talk」ボタンを押すだけで,音声コマンドが利用できる。

 なお,自動車産業で使われる「テレマティックス」という言葉は,車載/組み込み電子機器のシステムや技術を指す。無線音声/データやGPS(Global Positioning Systems)といった通信技術を用いる。

 Jaguar社のライバルであるDaimler Chryslerの一部門Mercedes-Benzの米国法人も10月初めに,Mercedes-Benz全車種の2001年モデルにテレマティックス・システム「Tele Aid」を標準装備することを発表している。米Motorolaとの戦略提携に基づくもの。「テレマティックス・システムを全ての車種に標準装備するのは当社が初めて」(Mercedes-Benz米国法人)。

 また,米Ford Motorは7月末に米QUALCOMMと共同でテレマティックス・サービスを提供する合弁企業を設立している。社名は「Wingcast」。

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[発表資料]