WWW関連技術の標準化を進める業界団体W3C(World Wide Web Consortium)が,小型機器向けのXHTML,「XHTML Basic」をW3C勧告として12月19日に発表した。

 W3Cは,HTMLとXMLとの統合を図ったXHTML 1.0をW3C勧告として2000年1月に公開しているが,XHTML Basicは,XHTML 1.0の機能を必要最小限に絞ったもの。

 XHTML 1.0では,「Modularization of XHTM」(XHTMLのモジュール化)と呼ぶ仕様にもとづいて, XHTMLの要素や属性のサブセットを組み合わせたモジュール化の仕組みを記述している。XHTML BasicはこのXHTMLモジュールのうち小型機器に適したモジュールの組み合わせで構成する。携帯電話,PDA(Personal Digital Assistants),ページャ,セットトップ・ボックス,テレビなどに組み込んだWWWブラウザでの利用に向けるものである。

 「初期のHTMLは簡便で相互運用性を容易なものにした。 一方,XHTML 1.0は強力な言語。しかし携帯電話などの小型機器に組み込まれたブラウザにとって,XHTML 1.0のすべての機能は多すぎるだろう。XHTML Basicは,初期のHTMLの簡潔さと相互運用性を提供し,同時にXMLやアクセシビリティといったこれまで10年におよぶWWW技術の経験を反映している」(W3CディレクターのTim Berners-Lee氏)。

 なおXHTML 1.0はさまざまな用途に特化した拡張を加えることができるが,XHTML Basicも同様に,マルチメディア・データの同期化を可能にするSynchronized Multimedia Language(SMIL),数式表現のMathML,2次元ベクトル・グラフィックスScalable Vector Graphics(SVG),メタデータResource Descriptio Framework(RDF)などと組み合わせて使える。

 XHTML Basicは,AOL/Netscape,CWI,Ericsson,IBM,Intel,松下電器産業,Microsoft,Mozquito Technologies,Openwave Systems,Philips Electronics,Quark,Sun Microsystemsなどが参加するW3C HTML Working Groupの協調作業によって開発された。このほか無線機器のW3C Mobile Access Interest GroupやWAP Forumの意見も取り入れている。
 
 ちなみに,XHTMLはHTMLとXMLの言語環境を統合したもの。具体的には,HTML4をXMLのアプリケーションとして書き直した。たとえば,HTML4で提供されるユーザ・エージェントの機能を取り入れながら,XMLの構造化データの取り扱いを可能にする。

 XHTMLに準拠することで,既存のHTML対応のブラウザで動作すると同時に,XMLに対応したソフトウエアで処理できるウェブ文書を作成可能になる。XHTMLの文法はXMLに従うが,HTML 4のエレメント(段落,リンク,表など)も利用する。

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