米AT&Tは,CATV事業などを手がける傘下のLiberty Media Groupを分離・独立するという計画をFCC(連邦通信委員会)に伝えた。AT&T社が米国時間12月15日に明らかにしたもの。

 Liberty Mediaの分離・独立計画については,AT&T社が今年11月15日に発表していた。今回の声明では,「MediaOne買収の条件を満たすためにLiberty Mediaを分離する」と明言しており,FCCが提示した条件にAT&T社が応えることを示した公式な声明となる。

 なお米MediaOne GroupはCATVの大手。AT&T社はすでにMediaOne社を買収しているが,これに関してFCCが今年6月に条件付きで買収を承認していた。

 同時にAT&T社は,米Time Warner Entertainment(TWE)と提携関係にあるビデオ番組会社の株式を今後保持しないことも明らかにした。この株式保有はMediaOne買収と利害関係が一致する行為である,との懸念に対応した。

 「Time Warner Entertainmentとの関係を“断ち切り”,Liberty Mediaを分離することでFCCの要求に応える」(AT&T社)。

 Liberty Media GroupはケーブルTV事業などを手がけるAT&Tの100%子会社。これまではトラッキング・ストック(事業収益連動株)を公開していた。AT&T社はこれを資産ベースの株式に転換して株式公開し,完全な独立会社とする計画である。

 もともとLiberty Mediaは,AT&T社が米TCI(TeleCommunications, Inc.)を買収した際に取得した事業部門。元はTCIの番組制作事業であったが,1999年3月にTCIがメディア投資事業のTCI Ventures Groupと統合した。またLiberty Mediaは傘下に電子商取引やインターネット・コンテンツ,双方向TVなどを手がけるメディア会社Liberty Digital(かつてのTCI Music)も抱える。

◎関連記事
米史上最大の買収計画の破談で,通信業界の再編が始まる
AT&TがLiberty Mediaのスピンオフ計画を発表,「FCCの条件に応える」
AT&Tが分割を正式発表,法人向け,家庭向け,広帯域,無線の4社に
MediaOneの買収条件で,AT&Tと司法省が合意
AT&TがMediaOne Groupに買収提案,総額620億ドルを提示
競争激化の米国の地域電話サービス,自社敷設の屋内配線への他社
AT&TとIBMがホスティング・サービスで4億5000万ドル規模の契約
AT&Tがインターネット対応携帯電話向けの無制限ネット接続サービスを発表
AT&T,BT,Microsoftが高速モバイル・インターネット事業で協力
AT&T,BT,Concert,3年間で20億ドルを投じ世界16カ国にデータセンター開設
AT&TとBTが世界規模の無線サービス計画の内容を明らかに
MotorolaとAT&T Wirelessが家庭向け無線高速ネットの世界展開で提携
AOLがAT&Tのインターネット対応携帯電話機向けのサービス提供を開始
AT&TとHPがドットコム企業向けe-businessソリューションで提携
米AT&T,IPテレフォニ技術のNet2Phone社に総額14億ドル投資

[発表資料へ]