米Intelの社長兼CEOのCraig R. Barrett氏が4月10日に都内で記者会見を開き, 2000年の半導体投資の予定などに関して明らかにした。

 Intel社のPentium IIIプロセサやCeleronプロセサなどのパソコン向けマイクロプロセサが,1999年11月ころから2000年初頭にかけて品不足に陥ったのは記憶に新しい。その一方で同社は,1999年にコミュニケーション関連企業の買収に60億ドルを投じ,半導体工場に投じた資金を上回ったといわれる。インターネット関連の事業に軸足を移しつつあることで,屋台骨を支えるマイクロプロセサ事業が少々おろそかになったことは否めない(通信関係ベンダへの買収攻勢については,「もう止まらないIntelの買収攻勢,今度は光通信LSIのGIGAを12億5000万ドルで」を参照されたい)。

 インターネット経済のビルディング・ブロックを供給するベンダとして,マイクロプロセサへの投資をおろそかにするのは問題ではないかとの問いに対してBarrett氏は,「マイクロプロセサに限らず半導体部品全体が逼迫状態に陥った。Intel社もそうだが,この2年ほどは半導体業界全体で投資が足りなかったのは事実だ。その影響が品不足の形になって表れた。半導体不足の傾向は,場合によっては2001年も続くだろう。Intel社としては,1999年に半導体製造関連に30億ドルを投じたが,今年は2倍以上に増やす考えだ」とした。

 約60億ドルのうち80%を,マイクロプロセサとチップセットに向ける。これまた品不足の状態が続いているフラッシュ・メモリに関しては,残りの20%を充てるに留まる。この件に関してBarrett氏は,「確かに携帯電話など,フラッシュ・メモリへの引き合いは非常に強い。2~3年は品不足の状態が続くだろう。Intel社は,Colorado Springsにある米Rockwellの半導体工場を買収して体制を整えている。この工場で製造するのは100%フラッシュ・メモリだ。今年中には生産を始める。ただし収益性を考えると,投資の比重はマイクロプロセサやチップセットに重くならざるを得ない」とした。

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 なおBarrett氏は1999年の決算発表時に,「2000年におけるネットワーキングやコミュニケーション,無線関連事業の売上高は,前年に比べて50%増以上を見込んでいる」としている。今回の記者発表でも,「半導体製造への投資を倍増するが,ネットワーク関連企業の買収は今後も続ける」と付け加えるのを忘れなかった。