米PalmのCEOであるCarl Yankowski氏は米国時間12月12日に,ハードウエア/ソフトウエア開発者向け会議「PalmSource 2000」で,ハンドヘルド・コンピューティング市場に向けた今後の展望や計画,パートナー企業との提携などについて発表した。また次期Palm OS「Palm OS 4.0」を開発者に披露した。

 概要は以下の通りである。

・Palmプラットフォームに対応したモデムやPalm OSを搭載した無線ハンドヘルド機の新製品が2001年に登場する。これら機器で,CDPD,CDMA, GSM, GPRS, PDC,,Mobitexといった世界の主要な無線ネットワークにアクセスできるようになる。

・Palm社は韓国Samsung ElectronicsにPalm OSをライセンス供与した。Palm OSを採用する大手携帯電話機メーカには,フィンランドNokia,米Motorola,京セラがあるが,これにSamsung社も加わった。Samsung社は2001年前半にPalm OSを搭載したスマートフォンを出荷する予定。

 また,Yankowski氏は,近い将来の展望について次の六つの分野に分けて説明を行った。いずれ大きなビジネス・チャンスのある市場としている。

・PIM(Personal Information Management)。この市場ですでにPalm社が築いている地位を利用し,顧客ロイヤリティをさらに高めていく。

・Net PIM -- インターネットを介してPIMのサービスを提供する。すでに同社は AnyDay.comを買収しており,ポータルサイト「MyPalm」を開発している。今年末には同サイトのパブリック・ベータ版を公開する予定。

・コミュニケーション(第1段階)
 2001年に電子メール・ソリューションを拡張し,メッセージ通知,インスタント・メッセージングなどの機能やサービスを提供する。また米Microsoftの「Exchange」へのシームレスなアクセスを実現する。

・コミュニケーション(第2段階)
 Palm OSに音声機能を追加する。当初はテレフォニを介した音声機能を提供し,その後Palm OSで音声をデータとして扱えるようにする。同日開発者に披露した次期Palm OS「Palm OS 4.0」には,豊富なテレフォニ機能を組み込んだ。すでに京セラと米HandspringがPalm OSベースのスマートフォンを販売しているが,今後も両社やMotorola社,Nokia社,Samsung社と協力して次世代スマートフォンの開発に取り組んでいく。

・セキュリティ(第1段階)
 Palm OS搭載に,個人が普段携帯する各種カードの機能を持たせる。例えば自動車の運転免許証,パスポート,クレジットカードといったものが考えられるという。このためPalm OS 4.0ではセキュリティを強化し,ユーザーのデータを保護する。

・セキュリティ・第2段階
 Palm OS搭載に電子財布の機能を持たせる。支払い,企業の取り引き,バンキングなど安全なトランザクションを行えるようにし,モバイルを使ったカスタム電子商取引(me-commerce)を実現する。

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