DSLサービス・プロバイダ大手の米NorthPoint Communications Groupが米Verizon Communicationsをカリフォルニア上級裁判所に提訴した。NorthPoint社が米国時間12月8日に明らかにしたもの。

 NorthPoint社はVerizon社の行為に契約違反があったとしてVerizon社に対して,事業統合の再開または損害賠償を求めている。

 Verizon社は2000年8月7日に,NorthPoint社に8億ドルの資本投資を行い,両社のDSL事業を統合し,新しいDSL広帯域通信サービス専門会社を設立すると発表していた。しかしその後11月29日に,この資本投資と事業統合の中止を明らかにした。NorthPoint社の提訴はこれを受けたもの。

 NorthPoint社は,Verizon社に対して事業統合契約の履行,もしくは不履行の場合の損害賠償を求めている。賠償額は陪審判決により10億ドル以上にのぼるとしている。

 このビジネス統合は,両社のDSLネットワーク,製品,技術,市場戦略,管理など,DSLに関連する要素をすべて融合させ,一般住宅ユーザーを主な顧客とするVerizon社と企業ユーザーを顧客とするNorthPoint社の技術,戦略,ノウハウを互いに交換することで総合的な補強を図ろうとしたものだった。強力な競合相手であるCATV網を介したインターネット・アクセスに対抗できる会社を目指していた。

 新会社の設立の条件は,Northpoint社の営業実績や財務状況が8月の事業統合化の合意時点より悪化していないことが前提とされていた。しかしその後,Northpoint社のDSL事業内容が悪化の一途をたどったことから,Verizon社はこの計画に見切りをつけた。

 なおNorthPoint社は提訴の前日である12月7日に,DSLサービス事業の業績不振のためフルタイム従業員の19%にあたる248人を解雇することを明らかにしていた。このとき,社長兼CEOのLiz Fetter氏は,「Verizon社の契約破棄の結果として,我々は困難な決断をしなければならない。経営幹部は効率向上と支出削減のために必要となることは,何でも取り組んでいく」などとコメントしていた。

 Verizon社は,米Bell Atlanticと米GTEの合併によって設立された米国最大の通信サービス会社であり,9500万人の有線電話加入者,2500万人の携帯電話加入者を抱える。従業員数は26万人,1999年度の売上高は600億ドルである。またNorthPoint社は,米国で最も成長速度が速いDSLサービス・プロバイダとして知られている。

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