米Sun Microsystemsが米国時間12月4日に,XML対応Java API(Application Programming Interfaces)の早期アクセス版をリリースしたことを明らかにした。リリースしたのは,「Java API for XML Messaging(JAXM)」(開発コード名「The M Project」)と「Java API for XML Parsing(JAXP)」。

 JavaとXMLデータをベースにしたアプリケーションの開発や導入を簡易化するAPIである。Sun社のWWWサイト「Java Developer Connection」で無償提供を始めた。

 JAXMは,企業向けアプリケーションでのメッセージング機能実装に用いる。企業間取引(BtoB)向けアプリケーションなどの開発に向ける。XMLのほか,HTTP,SMTP,FTPなどのプロトコルに対応する。Sun社の「Java Community Process(JCP)」で,仕様のドラフト版の提供を始めた。JAXMの正式版の出荷は,2001年初めを予定している。

 JAXMは,「ebXML」のメッセージング標準など多くのXML規格に対応する。ebXMLは,OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)およびUN/CEFACT(United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business)が,共同開発を進めている技術である。Sun社も「Transport/Routing & Packaging(TR&P)」や「Proof-of Concept」などのワーキング・グループに参加している。

 JAXPは,Java APIを備えたXML文書の読み出しや編集,生成に対応する。JAXPの「v.1.1」では,11月にリリースされたW3C(World Wide Web Consortium)勧告の「Document Object Model(DOM)level 2」や,XMLパーサ「Simple API for XML(SAX) level 2」,W3Cが定義したXML標準「XSL Transformations(XSLT)」など,最近開発されたXMLの標準規格にも対応する。

 JAXMおよびJAXPは,「Java API for XML Data Binding(JAXB)」とともに,Java 2プラットフォームにおけるXML対応のコアとなるAPIである。JAXBは,開発コード名「Adelard」と呼ばれていたもの。スキーマ・コンパイラ・ツールを用いて,XML文書とJavaベース・オブジェクト間で双方向のマッピングを行う。コンパイラがXMLスキーマからJavaのクラスを自動生成するので,複雑な解析コードを書く手間が省ける。コンパイラは,XMLメッセージのエラー/バリデーション・チェック機能を備える。

 JAXBは,Sun社の「Java Community Process(JCP)」プログラムで開発中で,仕様のドラフト版「JSR 31」をJCPのWWWサイト(http://java.sun.com/aboutJava/communityprocess/)で提供する。JAXBの出荷は,2001年第1四半期を予定している。

 JAXM,JAXP,JAXBは,「J2EE(Java 2 Platoform,Enterprise Edition)」「J2SE(Java 2 Platform,Standard Edition」の次期版に組み込む。

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