米Intelの開発者会議「Intel Developer Forum(IDF)」と米MicrosoftのWindows 2000発表を軸に進んだ1週間だった。さすがのウインテルも一時の勢いを失いつつあるが,いずれも元気なところをみせた。その一方で,ポスト・ウインテル時代を担うとされるモバイル環境でのインターネット・アクセスに関する発表も相変わらず多い。ウインテルに代表される「持続的技術」とモバイル・インターネットの「破壊的技術」のせめぎ合いを印象づけた1週間となった(「持続的」と「破壊的」の用語は,クレイトン・クリステンセン著,「イノベーションのジレンマ」,翔泳社,2000年によった)。

 Intel社の開発者会議における話題の中心は,Pentium IIIプロセサ後継の「Willamette」と64ビット・マイクロプロセサ「Itaniumプロセサ」だった。Willametteを1.5GHzで動かすデモンストレーションや,フランスのBull, 米Compaq Computer, 米Dell Computer, Fujitsu Siemens Computers, 米Hewlett-Packard(HP), 米IBM, NEC ,米SGIが披露したItanium搭載のサーバ機やワークステーションが話題を呼んだ。

 このほかIDFで気になったのがSerial ATA。ハード・ディスク装置(HDD)をつなぐためのインタフェースをシリアル化するというもの。Intel社や米APT Technologies,米Dell Computer,米IBM,米Maxtor,米Quantum,米Seagateが仕様を策定中である。実はIntel社はかつて,HDD向けのシリアル・インタフェースとしてIEEE 1394を想定していたことがある。その後Intel社はIEEE 1394離れを進め(ライセンス料の問題がキッカケとなった。基本特許をもつIntel社はライセンス管理には参加),その代替としてUSB 2.0の開発に注力してきた。さすがにハード・ディスク装置にUSBというわけにもいかなかったが,Serial ATAによってIntel社は完全にIEEE 1394離れを果たす格好だ。

 ちなみにUSB 2.0の最終仕様は2000年4月にも固まる。確かに実用に供されているIEEE 1394に比べ大きく出遅れているが,Intel社とMicrosoft社が策定中のPC 2001仕様にUSB 2.0が盛り込まれる予定である。

 一方のWindows 2000は,お祭り騒ぎの発表会よりも見所は場外戦に多かった。ディレクトリ・サービスで互いに自社が優れていると言い合った米Novellとの論争や,「Windows 2000日本語版の情けないバグ」などが相次いで判明して障害情報で爆発してしまったマイクロソフトのサポート・ページといった話題を振りまいた。

 性能論争は,いずれも米KeyLabsを使ったテスト結果を使った。Microsoft社が「KeyLabsのテストでActive DirectoryはNovell製品よりも高速」と主張すれば,Novell社が「KeyLabsのテストでNDS eDirectoryはActive Directory高速」と言い返し,盛り上がりをみせた。

 Windows 2000の発表イベントや障害情報については,『Windows 2000特番』サイトに詳しいので参照されたい。たとえば「マイクロソフト,Windows 2000日本語版独自のバグ情報発表,Active Directoryにも問題」や「Windows 2000関連の障害情報で爆発するマイクロソフトのサポート情報ページ」といった記事が楽しく読める。

横田 英史=BizIT編集長