米AT&Tは米国時間11月15日,同社傘下のLiberty Media Groupを分離・独立する計画を発表した。同社の取締役会が票決を行い決定したものという。

 Liberty Media GroupはケーブルTV事業などを手がけるAT&Tの100%子会社。これまではトラッキング・ストック(事業収益連動株)を公開していたが,これを資産ベースの株式に転換して2001年第2四半期には株式公開し,完全な独立会社とする。

 AT&T社は米国時間10月25日に,同社を4分割し,法人向け通信事業のAT&T Business,家庭向け通信事業のAT&T Consumer,広帯域接続事業のAT&T Broadband,無線通信事業のAT&T Wirelessに分割/再編する計画を発表しているが,今回のLiberty Media Groupの分離/独立もこの計画の一環であるという。

 Liberty Mediaを完全な独立会社とすることで,資金調達や他社事業の買収や提携が容易になる。またAT&TとLiberty Mediaの事業の方向性を明確に分けることで,さまざまな問題に対する緩和措置にもなるとしている。

 AT&TはケーブルTV大手米MediaOne Groupを買収しているが,これに関して,FCC(連邦通信委員会)が今年6月に条件付きで買収を承認している。AT&Tによると,Liberty Mediaの分離/独立はこのときFCCが提示した条件の三つの選択肢の一つに大きく応えるものになるいう。

 もともとLiberty Mediaは,AT&T社が米TCI(TeleCommunications, Inc.)を買収した際に取得した事業部門。元はTCI社の番組制作事業であったが,1999年3月にTCI社がメディア投資事業のTCI Ventures Groupと統合した。またLiberty Mediaは傘下に電子商取引やインターネット・コンテンツ,双方向TVなどを手がけるメディア会社Liberty Digital(かつてのTCI Music)ももつ。

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