「世界のオンライン広告市場は,1999年の43億ドルの水準から2005年までには280億ドル規模に達する」。Jupiter Communicationsが米国時間6月19日に調査結果を発表した。
調査は政府などの経済指標/数値やオンライン広告販売の担当者へのインタビューにより実施した。
2000年のオンライン広告市場は7億ドル規模で,このうち54億ドル,すなわち全体の75%を米国市場が占める。これに欧州とアジアが続くが,市場規模は9億ドル,5億ドルと,首位の米国に比べ格段に小さい。また新興市場での成長率が高く,中南米では68%の伸び率で拡大するという。
WWWベースの広告は,2005年までに広告全体の6%近くに達すると予測している。世界のインターネット人口は現在3億人ほどだが,これが2005年には2倍以上の8億人に増大するという。このネット・ユーザの大幅増が,オンライン広告を押し上げる。
■表 世界におけるオンライン広告市場(1999年~2005年) (単位:100万USドル)
1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | |
北米 | 3,509 | 5,390 | 7,444 | 9,768 | 12,237 | 14,623 | 16,913 |
西欧 | 434 | 906 | 1,535 | 2258 | 3,118 | 4111 | 5,263 |
アジア | 225 | 502 | 880 | 1375 | 1,922 | 2556 | 3,324 |
中南米 | 52 | 127 | 240 | 402 | 628 | 888 | 1668 |
豪州/ニュージーランド | 24 | 74 | 135 | 208 | 288 | 373 | 462 |
その他 | 9 | 28 | 51 | 118 | 211 | 351 | 578 |
合計 | 4,253 | 7,027 | 10,296 | 14,129 | 18,402 | 22,903 | 27,708 |
Jupiter社は,消費者とのコミュニケーション手段としてのインターネットの利用は,世界規模で事業を展開する多くの企業で不十分なままだとみる。
問題点として,地域による市場規模の格差が大きすぎること,斬新なオンライン広告モデルが不十分であること,メディアおよびプラットフォーム間の互換性が不十分であることなどを指摘する。オンライン広告が直面する課題は,具体的には以下の通り。
・1999年における北米市場のオンライン広告市場は35億ドル。しかし2位の西欧は,およそ1/9の4億ドルで,3位のアジアは2億ドル。地域による市場規模にあまりにも差があるため,世界規模での展開は効率の面でどうしても限界がでてくる。
・パソコン以外の無線端末やインタラクティブTVなどの登場・拡大で,プラットフォームがより複雑になり,インテグレーションの部分で問題が出てくる。