9月1日(米国時間)の米Intelの通信プロセサ(同社はネットワーク・プロセサと称する)市場への参入に,翌日,米IBM(同社はコミュニケーション・プロセサと称する)が続いた。

 IBM社が,ルータやスイッチ,ハブなどのネットワーク機器に向けた通信プロセサ市場に参入するとともに,ネットワーク機器向け部品の技術に関係する世界中の研究開発部門を1個所に集約し「Communications Research and Development Center」を設立することを明らかにしたのだ。

 IBM社は,通信プロセサ向けアプリケーションの開発や業界標準の確立でサード・パーティを支援する。また通信プロセサに関して,通信関係の技術をもつ米C-Portと提携関係に入ったことも発表した。

 C-Port社とは,ネットワーク・システム向けのAPI策定で協力体制をとる。C-Port社は,「C-5 Digital Communications Procesor(DCP)」と呼ぶマイクロプロセサの製造で,IBM社をパートナに選んだことも明らかにした。次世代のプロセサ開発でもIBM社と手を組む。

 すでにIBM社は,PowerPCをCPUコアに通信機能を組み込んだ「PowerPC 405GP」を発表しているが,今後発表する通信プロセサはこの製品系列に入ることになる。

 Intel社とIBM社の発表を比較すると,実によく似ている。ともに通信プロセサLSIを発表するだけではなく,APIあるいは業界標準の策定をめざしてサード・ベンダ支援を打ち出すとともに,通信技術をもつベンダを巻き込んだ。IBM社はC-Port社との提携だし,Intel社は米NetBoostを買収してしまった。しかもIntel社は,通信プロセサのアプリケーション開発支援のために2億ドルを拠出して基金まで設立した。

 Intel社とIBMの今回の動きは,IT業界がパソコンからインターネットへと軸足を急速に移しつつある現状を,象徴するものといえよう。

[発表資料]
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