「オンライン通販業者にとって重要なのは,商品を顧客へどうやって届けるかではなく,何を(宅配サービスで)出荷するかを選択すること。しかし多くのオンライン通販業者は商品を顧客へ届けるための手段ばかり考えており,どんな商品が適切かはあまり考えていない」(AMR Research)---消費者向けオンライン通販(B2C:Business-to-Consumer)事業者の物流サービス利用に関する調査結果「Report on Supply Chain Management」を,調査会社の米AMR Researchが米国時間11月7日に公開した。

 この調査結果によると,宅配サービスで消費者に向けて直接出荷される商品の総額は2000年末の時点で600億~700億ドルにのぼる見込み。

 注文を受けた商品を実際に顧客の手元へ届ける,いわゆる「オーダー・フルフィルメント」のプロセスは,業者と消費者を結ぶ重要なリンクであり,顧客満足度やブランド価値を高める意味で重要な役割を果たす。この意味で,さまざまな物流サービスのうちでも多くの小売業者が利用する宅配サービスはオンライン通販業者にとって不可欠とする。

 「収益確保の観点からみると,売上マージンの高い商品を中心に提供していくことが最も重要。ただし,競争力の確保や幅広い顧客層をひきつけるという観点では豊富な品揃えも重要で,これは売上マージンの低い商品を品揃えに加えておくことにつながる」(AMR Research,Senior Analyst,Supply Chain StrategiesのChris Newton氏)。これと多くの小売業者が宅配サービスで商品を提供している現状を考えあわせると,宅配サービスによる商品提供でいかに高い顧客ロイヤルティを達成するかが,オンライン通販事業の収益性を高める上で重要とこのレポートでは結論づけている。

 このレポートの主な結論は,以下の通り:

  • 宅配サービス利用で収益性を高められる商品を選択することが最優先。売上マージンが低く,しかも重量のある商品だと顧客が高い配送料を支払うことに同意しない限りはコストの埋め合わせが難しい。たとえば,ファッション/アパレル系の衣料品やグルメ向けの高級食材などは収益性も高く宅配サービスでの提供にも向いているが,一般食材などは宅配サービスでの提供に向いていない。
  • マーケティングだけではダメ。情報システムや決済/物流,顧客サポートなどにも注力すべき。
  • 配送業者は注意深く選定すべき。信用度やサービスの確実性を考慮する。
  • 無料配送サービスは特典であって,顧客の権利ではない。頻繁に利用してくれる顧客や,高額な注文をしてくれる優良顧客にのみ提供すればよい。
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