米Adobe Systemsが次世代のオンライン・パブリッシングに向けた新たな構想「Network Publishing」を発表した。米国時間10月31日にカリフォルニア州サンノゼTech Museum of Innovationで行われた記者発表で明らかにしたもの。

 Network Publishingとは,「これまでのデスクトップ・パブリッシングやWWWパブリッシングに続く第3の波となるもの」(Adobe社社長のBruce Chizen氏)という。視覚的にリッチで,それぞれが意味を持つコンテンツを作成し,それを管理したり,WWWページ,プリンタ,携帯電話,ハンドヘルド機器,パソコン,インターネット専用端末(インターネット・アプライアンス)といったユーザーの利用する機器を選ぶことなく安全に配信することを意味するという。

 Network Publishingのもとでは,個人やグループなどがコンテンツを一度作成すると,機器の違いにかかわらず作成者の意図通りに出力されるようになる。「ユーザーはどのような場所からでも閲覧/保存し,好みの場所や機器へ転送/印刷することができるようになる」(同氏)。

 Network Publishingは,XML(Extensible Markup Languag),PDF(Portable Document Format),SVG(Scalable Vector Graphics),SMIL(Synchronized Multimedia Integrated Language),WAP対応機器向けWML(Wireless Markup Language),iモード対応機器向けのcHTML(Compact HyperText Markup Language)といった標準技術をベースにする。Adobe社はNetwork Publishing構想の一環として,これら技術への支持を今後も続けていくという。

 またAdobe社は,米HP(Hewlett-Packard),フィンランドNokia,米RealNetworks,CRM(customer relationship managemen)を手がけるATG(Art Technology Group)などがNetwork Publishing構想への取り組みに賛同したことも明らかにした。

 Nokia社とはWML 1.1コンテンツのGoLive 5.0向けオーサリング環境の開発で協力体制を敷く。RealNetworks社とはストリーミング・メディアのオーサリングに関して提携する。ベクトル・グラフィックスの仕様SVGをRealPlayerで利用可能にしたり,Premiereの次期版でRealAudioやRealVideo 8に対応する。

 さらにコンテンツ制作者のためのネットワーク「Adobe Studio」を開設することも明らかにした。Adobe Studioはコンテンツやコミニュティ,ツール,サービスを提供する場で,コンテンツ制作者の生産性を向上し,新たなビジネス機会を提供するという。

 アプリケーションのホスティング・サービスも行い,プロジェクトの管理や安全なファイル共用などの環境を提供することで協調作業の効率化が図れるようにする。Adobe Studioは2001年第1四半期に米国とカナダではじめる予定。URLはhttp://www.adobestudio.com/。月額利用料金は39.95ドル。グループ利用の割引料金も用意する。

[Adobeの発表資料1]
[Adobeの発表資料2]
[Adobeの発表資料3]
[Adobeの発表資料4]