企業のデジタル著作権管理(DRM)技術の利用動向に関する調査結果を,米Gartner GroupのDataquest部門が米国時間10月18日に公表した。10月16日~20日までフロリダで開催しているセミナー「Gartner Symposium/ITxpo 2000」で発表したもの。

 この調査によると,2002年には60%以上の電子商取引(EC)サイトが,DRMをはじめとするなんらかのデジタル・コンテンツを保護するのためのツールやサービスを利用するという。「ネットで配信するコンテンツを保護する技術やツールの市場はまだ緒についたばかり。暗号を使って配信コンテンツを保護する技術や認証技術などは事業者にとってさまざまな利用価値がある」(Gartner)。

 ベンダーなどがDRM技術の最初の適用対象として狙うのは,紙やCD-ROMといった既存の物理的な媒体を使った従来型コンテンツ流通方式からオンライン配信へ移行する試みをすでに開始している音楽や書籍業界。出版社や関連企業がDRM技術を利用してコンテンツを保護すれば,コンテンツから得る収入を維持できるとするのがGartnerの意見だ。

 「DRM技術が登場するまで,コンテンツを有料提供する事業者にとってのWebは,大きな悩みの種でしかなかった。これはWebが貴重なコンテンツへの無制限にアクセスする手段を提供してしまうから。しかしDRM技術を利用すれば,Webをあらゆる種類のデジタル・コンテンツを安全に配信する手段の1つとできる」(Gartner社調査ディレクタのAlan Weintraub氏)。

 Gartnerは,DRMが消費者向けのサービス(B2C)ばかりでなく,企業間取引(B2B)の分野でも大きな影響を与えると予測。B2C分野におけるDRM適用の課題は「料金」と「基準」。企業間取引の分野での課題は「インフラ」と「経費」という。

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