米3Com,米Sun Microsystems,米Cisco Systemsなど14社が,米国時間10月18日に,インターネットを使った家庭の情報化の普及促進を図る業界団体「Internet Home Alliance(IHA)」を結成したことを明らかにした。

 「インターネットを取り入れたライフスタイル(Internet Lifestyle)の利便性について,消費者の理解を高め,導入を推進していく」(IHA)。

 IHAは,家庭内システムの開発を幅広く支援するとともに,ベンダーや小売店など参加企業間での連携を強化する。創設メンバーには,3Com社など3社のほか,米Motorola,米General Motors,松下電器産業の米国法人(Matsushita Electric Corporation of America),システム・ベンダーの米Honeywell,制御システム大手の英Invensys,家庭向け電気サービスのベンチャ企業米The New Power Company,小売大手の米Best Buy,米CompUSA,米Sears Roebuck。協力メンバ(contributor)として米Texas Instruments(TI)と電気・ガス会社の米Reliant Energyとの2社も加わった。IHAのトップにはSears社Strategy,Home and Online Services部門担当副社長のBill Kenney氏が就任した。

 「Internet Lifestyle」は,生活のあらゆる面にインターネット・ソリューションを取り入れ,日常生活での利便性を高めていくことを目指す。具体的には,オーディオやビデオなどストリーミング・メディアをエンターテインメントや学習に取り入れたり,電気やガスなどのエネルギー監視システム,住宅の遠隔監視システム,家族間や友人など家庭の内外でのコミュニケーション,複数のパソコン/ネット端末からインターネットへの同時アクセスなどを可能にする。

 IHAは「米国世帯でのパソコン普及率が50%を超えた一方で,インターネット対応機器の導入はまだわずかである」と指摘,インターネット・ソリューションの日常生活への普及を阻んでいる主な問題点として,以下の3点を挙げている。

・市場のフラグメンテーション(細分化)
・消費者理解を促す業界サイドの説明や連携が不十分
・テクノロジやソリューションそのものが家庭向けとしては複雑

 なお3Com社は,「デジタル・ホーム」構想を掲げ,家庭内ネットワークやそのインフラ強化などに注力している。同社の「デジタル・ホーム」構想は「家族の一人ひとりを住宅のなかでも外でもネットワーク接続し,重要な情報が共有できるようにする。消費者のライフスタイルをより豊かなものに高めていく」(3Com社)というもの。10月17日には,家庭向けネット製品群の第1弾となるネット端末「Audrey」を発表した。

 またSun社も最近,家庭内ネットワークのゲートウエイ(レジデシアル・ゲートウエイ/residential gateway)機器向けとして,組み込み用途向けJavaサーバ・ソフトの新版「Java Embedded Server(JES)2.0」をリリースしている。

 3Com社,Cisco社,米Intel,TI社が2000年4月に結成した電源線利用の家庭内ネットワークの業界団体「HomePlug Powerline Alliance」をはじめ,家庭向けネットワーク製品の標準化団体OSGi(Open Services Gateway Initiative),米国の民生機器の業界団体Consumer Electronics Association,IT関連の米非営利団体 CompTIA(Computing Technology Industry Association)などの各業界団体もIHAへの支援を表明している。

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[発表資料]

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[Cisco社の発表資料]