(2000.10.11,Mary Mosquera= TechWeb News

 米司法省と米Microsoftの独禁法違反訴訟で,ワシントン連邦高裁は米国時間10月11日に,今後同高裁で行われる控訴審の日程について明らかにした。

 まずMicrosoft社が意見書を11月27日までに提出する。司法省が意見書を2000年1月12日に提出し,同年1月29日にMicrosoft社がこれに反論する意見書を提出する。双方による最終意見書の提出は2月9日,という日程である。これら書面により双方の意見が示された後,2月26日と27日に口頭弁論が開かれる。

 控訴審の日程を巡っては,司法省側が迅速な審理を要請し,Microsoft社は時間をかけた審理の必要性を訴えていたが,同高裁の決定は双方の要請の中間をとる形となった。ただし同高裁は「これら期日を引き延ばそうとする行動は認めない」としている。

 また同高裁は意見書のページ数について,Microsoft社が当初提案していた200ページを150ページに変更するなどの制限を加えた。これに関しては,紙の書面に加え,米Adobe SystemsのPDF(Portable Document Format)およびCD-ROM形式で提出するよう命じている。さらに,両者によるすべての文書を収録した最終意見書および追記文書のCD-ROM版を司法省とMicrosoft社で共同作成し,これを提出するよう命じた。

 今回の日程決定の発表を受けて,両者は以下のようなコメントを出している。

 「これは公正で正当なスケジュールであると我々は考えている。我々は主張に自信をもっている。連邦地裁の下した判断には事実誤認があり,また手続きや法的な誤りもあり,これが控訴審で覆ると信じている」(Microsoft社報道担当者のJim Cullinan氏)。

 「この訴訟手続きに期待している」(同省報道担当者のChris Watney氏)。

 連邦地裁のThomas Penfield Jackson判事は今年6月に,Microsoft社をOS部門とアプリケーション・ソフトなどその他のすべての事業を行う部門の2社に分割する是正命令を下した。 これを受けてMicrosoft社が命令を不服として控訴。その後司法省は早急に審理が必要な場合に認められている特例法である反トラスト法促進法(Antitrust Expediting Act)を適用し,最高裁による直接審理を進めるべきだと主張していた。しかし9月に連邦最高裁判所は司法省の要求を退け,控訴審は高裁に送るという決定を下していた。

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