AMDのQ2決算，96％増収，162％増益，AthlonとDuronで180万個

2000.07.19

　米Advanced Micro Devices(AMD)が米国時間7月19日に，2000年第2四半期の決算を明らかにした。売上高が11億7043万ドル，純利益が2億714万ドルでいずれも過去最高となった。売上高は前年同期比で96％増，前期比7％増を記録した。純利益は，前年同期に比べて実に162％増，前期に比べて9％増である。

　製品別の売り上げでは，パソコン向けマイクロプロセサとフラッシュ・メモリがいずれも，前年同期に比べて2倍以上になった。フラッシュ・メモリの売り上げは，前期に比べて10％以上増えたという。

　Athlonプロセサ（新型Athlonを含む）とDuronプロセサ，K6-2をあわせた出荷個数は600万個を超えた。第1四半期は650万個だったので，若干減少したことになる。ただしAthlonプロセサとDuronプロセサの合計は180万個で，前期に比べて52％増を記録した。パソコン向けマイクロプロセサの出荷個数が減少したにもかかわらず記録的な業績を達成したことは，AMD社の製品構成が確実に付加価値の高いチップに移行しつつあることを意味している。

　米Mercury Researchによると，AMDのマイクロプロセサのASP（average selling price)は103ドル。第1四半期の87ドルに比べてぐっと高くなった。ライバルの米IntelのチップのASPは，第1四半期に192ドルだったものが189ドルに若干下がった。

　DuronはAthlonのCPUコアをベースにする。2次キャッシュをオンチップに搭載し，FSB(front-side bus)は200MHz。マルチメディア命令セット「3DNow!」を組み込む。0.18μmルールの半導体技術を使う。配線材はAlである。パッケージは「Socket A」。また新型Athlon（開発コード名：Thunderbird）は，256Kバイトの2次キャッシュをオンチップに集積し，CPUコアと同じクロック周波数でのアクセスを可能にしているところに特徴がある。「旧型」のAthlonでは2次キャッシュはオフチップだった。

　ちなみにAMD社のW. Jerry Sanders III会長兼CEOは，「Athlonプロセサの出荷個数を，四半期ごとに2倍にする」と第1四半期の決算発表の席で強気の見通しを明らかにしていた。Athlonの出荷台数は第1四半期に前期比50%増の120万個だったが，第2四半期は前期比50%増の180万個と見込んでいた。四半期ごとに50%増のペースだが，今年後半はこれを100%増に引き上げる。つまり，第3四半期には360万個，第4四半期に720万個のAthlonを生産することになる。この件に関しては，「ドイツのドレスデンで操業を開始したこともあって，第3四半期に360万個，第4四半期に720万個の出荷目標を達成できるものと確信している」（AMD社の社長兼COOのHector de J.Ruiz氏）。

　なお通年の生産個数は1380万個に達する。同社が2000年に出荷する予定のx86プロセサは2500万個なので，Athlonが過半数を占める訳だ。4月の決算発表では，年間2500万個の出荷予測を上方修正する可能性を示唆していた。

　またAMD社は米国時間6月5日に，ドイツのドレスデン工場（Fab 30と呼ぶ）から「売り上げにつながる初めてのマイクロプロセサを出荷した」ことを明らかにしている。出荷したのは0.18μmルールの半導体技術を用いたAthlonプロセサ。2次キャッシュをオンチップ化した新型Athlonである。配線材料には銅（Cu)を使う。3700万トランジスタを1チップに集積する。最高動作周波数は1GHzである。「2000年第2四半期に，Athlonの出荷個数の5～10%をドレスデン工場で生産する」（AMD社）という。

　今後は，ドレスデン工場と米国テキサス州のオースチン工場（Fab 25と呼ぶ）の2カ所でx86互換のマイクロプロセサを製造することになる（ドレスデンはCu配線品，オースチン工場はAl配線品）。ドレスデン工場では現在0.18μmルールの半導体技術を使っているが，「将来的には0.13μmへの移行も可能」（AMD社）としている。

　ドレスデン工場には，マイクロプロセサを年間5000万個製造する能力があると業界ではいわれている。この生産能力も，「2001年末には使い切る」（AMD社）という。

　このほかAMD社は，今後の見通しも明らかにした。第3四半期の売上高は第2四半期に比べて増加する。AthlonとDuronを合わせた出荷個数は，第3四半期に360万個，第4四半期に720万個を見込む。ASP（Average Selling Price)も高まるとみる。フラッシュ・メモリは，第3四半期は前期比10％増となる。フラッシュ・メモリは今後とも供給が需要に追いつかない状況が続く。