米Microsoftのインターネット・サービス事業部門MSNと米eMachinesが米国時間10月9日に,両社が10月末に米国で販売を始めるネット端末「MSN Companion」の仕様や価格などの詳細を明らかにした。eMachines社は,米国小売店での販売では第3位のパソコン・ベンダである。

 「MSN Companion」は,ビギナー向けの“最も簡単にインターネットに接続できる端末”として売り出す。価格は349ドル。販売はeMachines社が行う。なおMSN社が提供する月額21ドル95セントのインターネット接続サービス「MSN Internet Access」を3年間契約すれば,400ドルの払い戻しを受けることができ,端末の価格は実質無料となる。2000年12月31日までの期間限定とする。

 米Circuit City,米Office Depot,米Wal Mart,米MicroWarehouseなどの量販店で販売する。この端末で利用できるISPは,MSN社に限られる。ちなみに米IDCの調査によると,ネット端末の市場は2004年に台数で8900万台,金額で178億ドルの規模になるという。

 米National Semiconductor(NS)の情報家電用低電力x86プロセサ「Geode」を搭載する。動作周波数は200MHz。NS社は同日,MSN Companion向けプロセサの提供でeMachines社と提携関係に入ったと発表した。

 ネット端末のOSはWindows CE 2.12。ブラウザにはInternet Explorer 4.0を使う。32MバイトのSDRAM,16Mバイトのフラッシュ・メモリ,1Mバイトのビデオ・メモリ,AC '97対応のオーディオ・コーデック,56Kbps V.90モデム,2チャネルのUSBポート,内蔵スピーカを備える。ソフトウエアとして,Java Virtual Machine,Macromedia Flash,ActiveX Control,Windows Media Playerなども組み込む。端末はインターネットを介して自動的に保守サービスを行い,機能も定期的に自動更新する。端末の前方部分には,電源やネット接続のON/OFF,新着メールなどを知らせる表示機能をつけた。

 モニタとキーボードは,端末専用のものではなく,通常のパソコン用の製品を用いる。「ユーザがデスクトップ・パソコンを購入したくなったときに,そのまま使い続けることができる」(両社)。キーボード「eBoard」とUSB対応ホイール付きマウスを同梱する。MSN Hotmail,MSN Search,MSN MoneyCentralなどのネット・サービスにワンタッチでアクセスする機能を備える。モニタは別売りで,15インチまたは17インチから選択できる。

 「米国世帯の40%以上がまだパソコンやインターネット接続を利用していない」(MSN社副社長のYusuf Mehdi氏)として,低価格で操作の簡単な端末の投入により,こうした層の取り込みをねらう。

 なおMSN社はeMachine社のほかにも,米Compaq Computer,米Vestel USAなどとも同様のネット端末ですでに提携している。eMachines社の端末は,Compaq社が8月末に販売を始めた「iPAQ」に続く第2弾となる。iPAQの価格は,400ドルの払い戻しサービス付きで実質199ドル。Vestel社も10インチのLCDモニタ/15インチのCRTモニタを備えた端末をこの秋投入の予定である。

 同様のネット端末には,米Intel社の「Dot.Station」,米AOLとGatewayが開発の端末などもあり,これらの端末では,OSにLinuxを使っている。

◎関連記事
MSNがインターネット端末「MSN Companion」でeMachinesなどと提携
MicrosoftがCompaqとタイアップしてネット端末「iPAQ」発表,実質199ドル
GatewayとAOLのネット端末にTransmetaのCrusoeとMobile Linuxを採用
NSが情報家電などに向けたx86プロセサ「Geode GX1」,低消費電力がウリ

[Microsoftの発表資料]
[National Semiconductorの発表資料]