米Oracleは米国時間10月2日に,データベース・サーバ製品の新版「Oracle9i Application Server」「Oracle9i Application Server Wireless Edition」などについて発表した。サンフランシスコで開催中の「OpenWorld 2000」会議で明らかにしたもの。

 Oracle9i Application ServerはUNIX,Linux,Windows向けを今年10月にも出荷する予定である。「Webキャッシュ」と呼ぶ特許申請中のキャッシュ技術を組み込んでおり,これにより安価なハードウエア環境でもスループットが「目覚ましく」向上するという。Oracle9iでOracle Storeを運用したところ「バックエンド・サーバの負荷を70%削減しながらスループットが100倍高まった」(Oracle社)。

 これまでのキャッシュ技術がスタチック(静的)なWWWコンテンツを対象にしていたのに対し,Webキャッシュ技術はJava ServerやMicrosoft Active Server,CGI(Common Gateway Interface)などのダイナミック(動的)なWWWページにも対応する。

 このほかOracle9i Application Serverでは,ポータル・サイト構築/管理機能の「Oracle Portal」やビジネスに必要な情報をオンデマンドで提供する「Discoverer Viewer」の機能も拡張した。Oracle Enterprise Managerの新版も用意する。

 Oracle9i Application Server Wireless Editionは,無線対応インターネット・コンテンツやアプリケーション・サービスの開発と導入のためのミドルウエア製品。各種のアダプタをあらかじめ組み込んでおり,これにより,電子メールやディレクトリの統合,ロケーション・サービスの機能も提供する。

 このほか,米IBM製メインフレームに格納されているデータを無線WWWで利用できるようになる。また顧客が同社の無線向け開発ツールを使って新たなアダプタを開発し,Oracle9i Application Server Wireless Editionに追加する仕組みも用意する。Oracle9i Application Server Wireless Editionは今年12月の出荷を予定する。

 このほか,Oracle社は以下の発表を行った。

・無線対応のポータルやサービスの構築やインターネット・アプリケーションの開発を支援するパートナ・プログラム。同社が1998年に始めたOracle Partner Program (OPP)の一環と位置づけるもので,独立系ソフトウエア・ベンダ(ISV),ASP,システム・インテグレータなどに向ける。Oracle社製無線対応インターネット・ソフトウエアや,無線向け開発ツール,開発やホスティングに関するノウハウなどを参加企業に提供していく。

・企業のポータル・サイトを1週間で構築するサービス「FastForward Enterprise Wireless Portal」。

・無線アプリケーションの構築/テスト/ホスティングのサービス「OracleMobile Online Studio」。

・Oracle Migration Workbenchの新版「1.3」。Migration Workbenchは,米Sun Microsystemsと提携して行っている開発者向けプログラムで提供する。Microsoft SQL Server 6.5,同7.0,Sybase Adaptive Server 11.0からOracle8i,Solarisの環境に移行するための移行ツールである。

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