米Ford Motorと米QUALCOMMは米国時間7月31日に,両社がテレマティックス・サービスを提供するジョイント・ベンチャーを設立すると発表した。社名は「Wingcast」。出資比率などの詳細については明らかにしていない。
Wingcastは,ナビゲーション,エンターテインメント,インターネット・アクセス,安全/セキュリティ・サービスといった乗用車やトラック向け無線情報サービスを開発・提供する会社である。社屋をカリフォルニア州サンノゼに置き,元米MicrosoftのHarel Kodesh氏がCEO兼社長に就任する。「全世界の消費者に向けたテレマティックス・サービスの包括的なプロバイダ」(両社)とする。
自動車産業で使われる「テレマティックス」という言葉は,車載/組み込み電子機器のシステムや技術を指す。無線音声/データやGPS(Global Positioning Systems)といった通信技術を用いる。
QUALCOMM社のCDMA(Code Division Multiple Access)技術とFord社のテレマティックス技術,顧客ノウハウなどを組み合わせる。サービスの開始は2001年後期を予定している。当初はcdmaOneネットワークを使ったサービスを北米で始める予定だが,cdma2000やWCDMAなどの高速無線データ通信技術についても視野に入れている。
Wingcast社の製品やサービスを最初に取り入れるのは,Ford社製の乗用車とトラックである。Ford社は2002年までに,これら新車の100万台以上にWingcast社のサービスを搭載する予定。2003年までにはその数を300万台に増やし,2004年にはすべての新車に搭載できると見込んでいる。またサービスの水準や内容もこの年々拡充していく計画を立てている。
なお日産自動車がFord社とQUALCOMM社に協力し,同社の高級車種にWingcast社のサービスを取り入れる。将来的にはInfiniti系列にも搭載する予定という。
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