1999年のストレージ管理ソフトウエアの世界市場では,米EMCが,同社の「Symmertrix Manager」「VolumeLogix」「PowerPath」をはじめ,すべての製品分野で大幅に成長,米IBM/Tivoli,米Computer Associates(CA)を抜いてトップに立った。こういう調査結果を米Gartner GroupのDataquestが米国時間3月30日に発表した。

 Dataquestよると,EMC社の1999年におけるライセンス収入は前年比84%増の7億6350万ドルを達成,18.2%のシェアを獲得して首位に立った。1998年の実績は4億1610万ドルだった。

 「EMC社は社内開発のほか,他社との提携や企業の買収などにより,新製品を断続的に市場に投入してきた。マーケティングや販売活動でも健闘している」(Dataquest社の主席アナリスト,Carolyn DiCenzo氏)。

 IBM/Tivoli社はシェア17.3%で,2位に転落した。CA社も16.4%で順位を下げて3位となった。米VERITASが12.1%,米BMC Softwareが5.6%でこれに続いた。

 売上高上位5社の概要は以下の通り。

■表 1999年ストレージ管理ソフトウエア・ベンダのライセンス収入
 (推定値/単位:100万ドル)

企業名 99年売上高 99年シェア(%) 98年売上高 98年シェア(%) 伸び率(%)
EMC 763.5 18.2 416.0 14.5 84.0
IBM/Tivoli 725.6 17.3 602.6 21.0 20.0
CA 690.1 16.4 531.2 18.6 30.0
VERITAS 507.1 12.1 293.5 10.3 73.0
BMC Software 235.7 5.6 165.4 5.8 43.0
Others 1,278.5 30.4 854.1 29.8 50.0
合計 4,200.5 100.0 2,862.8 100.0 47.0
出典: Dataquest (2000年3月)

 Dataquestでは,ストレージ管理ソフトウエア市場は引き続き堅調に拡大するとみる。大企業が利益を上げる一方で,小規模ベンダなどにも,ストレージ・インフラ,ストレージ・リソース管理,HSM製品などの分野でチャンスが見込めるという。

 「上位ベンダと同じ土俵で戦う企業は,地理的,産業別,アプリケーション別などで的を絞って狙いを定めていくことが必要だ。また,上位ベンダの販売力やサービスに挑むのはますます難しくなってくる。小規模ベンダは,大企業などから買収の話を持ち掛けられた場合には,他社に決められてしまう前に,その提示条件を真剣に検討してみるべきである」(DiCenzo氏)。

  • www.businesswire.comに掲載の関連資料