(2000.9.25,Mark Hachman=TechWeb News

 米Micron Electronicsが米Advanced Micro Devices(AMD)のDuronプロセサ採用で,両社が契約を結んだことを明らかにした。これで米Intelのマイクロプロセサだけを採用している大手パソコン・ベンダは米Dell Computerだけとなった。

 Micron社は,デスクトップ機「Millennia RS250A」でDuron搭載モデルだけを販売するとしており,現行の米Intelとの提携関係について見直しを図る模様である。

 「Millennia RS250A」のシステム構成は,主記憶64Mバイトに30Gバイトのハード・ディスク装置を備える。グラフィックス・プロセサはNvidia社の製品で,このほかスピーカやソフトウエアを装備して,価格は899ドル(モニタ除く)。小売店によっては600ドル以下程度にまで抑えることも可能という。カナダ市場向けにBest Buy,Staples,Radio Shackなどのコンピュータ量販店で9月末から販売を始める。

 Micron社は,同社のパソコン・ショッピング・サイト「Micronpc.com」を通じて,Athlon搭載機の直販を行う予定があることも示唆した。

 Micron社マーケティング担当部門副社長,Paul Petersen氏は,「Intel社かAMD社か,顧客が選択できることが重要だ」とコメントし,Intel社のプロセサを切り捨てるわけではないとしている。

 Micron社の正式発表を受け,アナリストらは米Compaq Computerや米Gateway,米Hewlett-Packardなどのパソコン・ベンダもMicron社に追随するものとみる。このほかOEMベンダの英Tiny Computersも9月21日に,AthlonおよびDuronプロセサ搭載機の出荷を始めたことを明らかにした。

 今回の提携は,パソコンのロー・エンド機市場でのシェアが低下しているAMD社にとって,非常に大きな意味を持つ。同社では,すでにロー・エンド向けのK6-2やK6-IIIプロセサの生産を停止している。米PC Dataの報告によれば,7月時点でAMD社のプロセサを搭載したパソコンの市場シェアはわずか15.1%にとどまった。その一方で,Intel社は84.1%を占めている。ちなみに1999年2月の時点では,AMD社が51.4%ものシェアを獲得していた。

 「AMD社は非常によくやっているが,K6-2の生産をすでに終了した一方で,Duron搭載機がまだ店頭に届いていない。同社はハイエンド機向けのAthlonプロセサに注力しているという状況もある」(PC Dataのアナリスト,Stephen Baker氏)。

 米Mercury Researchの調査報告でも同様で,2000年第2四半期におけるAMD社の市場シェアは16%で,Intel社の83.2%から大きく水をあけられている。また,台湾のVIA Technologiesは傘下のCyrixを含め,シェアは1%未満にとどまるという。

 ベンダの中には,「AMD社とは,一時的な提携にとどまらず,長期にわたる提携関係を構築したいと考えている」と話す企業もある。

 しかしながら,Micron社がAMD社のプロセサをベースにしたマシンの直販を始めるには,やや時間がかかる可能性もある。Micron社のMillennia製品開発部門シニア・マネージャ,Casey Gotcher氏は,「当社は法人ユーザに注力しているが,その法人ユーザからはIntel搭載機を望む声が高い」と話す。

 Mercury社のアナリスト,Dean McCarron氏は,OEMベンダの動向について次のように分析する。「今や2年前の状況とは違い,“政治的”要因でどちらのプロセサを採用するかを決めることはなくなった。ベンダはあくまでも市場の状況という要因で決定する。様々な企業との戦略提携はあるものの,結局はやはり『2社』のうちのどちらかから選ぶということになる」。

 なお,Micron社の親会社であるMicron Technology社がDRAM技術に関して米Rambus社と特許係争を繰り広げており,こうした状況もMicron社の動向に影響を与えるものとなろう。

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