米IBMが,サーバ「AS/400e」の出荷を米国時間7月28日から始める。同社が米国時間7月26日に明らかにしたもの。「SOI(silicon-on-insulator:シリコン/絶縁膜構造)と銅(Cu)配線技術を採用したマイクロプロセサを搭載したサーバは世界で初めて」(IBM社)。

 SOIは絶縁膜の上にSi単結晶の層を設け,寄生容量を減らす技術。高速で消費電力の小さい半導体を製造できる。ただし製造工程が複雑なためコスト面で問題があり,人工衛星やミサイルなど,コストをさほど問題としない用途で使われていた。同社は98年8月に,高速SOIプロセスの量産技術を確立したと発表していた(「IBMが高速SOIプロセスの量産技術を確立,性能が35%増,消費電力は1/3」を参照されたい)  「AS/400e」シリーズの製品発表はすでに5月に行っている。SOI技術によりマイクロプロセサの性能を20%~30%高めたという。とりわけAS/400eのハイエンド機「840」は,24プロセサ構成で従来製品に比べ約3.6倍の処理性能を達成した。

 IBM社は「AS/400e Model 840」のベンチマークについても発表した。OLTP(オンライン・トランザクション処理)の業界標準ベンチマーク「TPC-C」では,15万2346.25tpmCを記録した。トランザクション当たりのコストは59ドル35セント(($/tpmC)。Lotus Dominoの処理速度を測るNotesBenchのベンチマークでは,7万5000の「NotesBench R5 Mail Users」ユーザに同時対応し,平均応答時間は276ms(0.276秒)だった。これまでで最も高い数字である。「TPC-C,NotesBenchのほか,SPECjbb2000,VolanoMarkでも,米Compaq Computer,米Hewlett-Packard,米Sun Microsystemsの最上位機の性能をしのいだ」(IBM社)。

 「840」のほかに,エントリ機「270」とLotus Domino向け「AS/400 Dedicated Servers for Domino」も発売する。

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  • www.ibm.comに掲載の発表資料1
  • www.ibm.comに掲載の発表資料2
  • www.ibm.comに掲載の発表資料3