米Gartner Groupは8月1日、企業間(B2B)電子商取引の今後の展開についての予測を公表した。いまやB2B電子商取引は,取引を世界規模へ展開する動きが活発化している。例えば自動車産業界では、これまでのように部品調達先を従来緊密な関係を保ってきた特定の下請けグループ企業だけにとどめずに、要求条件を満足する企業をネット上で自由に選択してオンライン取引するインターネットを活用したネット取引市場の導入が始まっている。

 Gartnerは,現在脚光を浴びつつあるネット取引市場は技術的な問題や運用コストの問題を乗り越えて実現するまでに数年はかかると見る。本格的な導入が開始されるのは2004年以降で,2005年の時点でネット取引市場から必要な部品を完全に調達するようになる企業は,大手企業2000社中でもわずか15%以下。現在はさまざまな取引形態の提案があるが、今後数年のうちに淘汰が進む。最終的には大別して3つの事業モデルが生き残るとしている。

 Gartnerによれば,ネット取引市場の事業モデルは2005年までには整理統合がすすむ。生き残るのは3つの事業モデルで,市場全体の95%を占める見込みという。
 Gartnerが最終的に生き残るとする3つの事業モデルとは,(1)業務サービスの取引市場,(2)コモディティ商品の取引市場,(3)インテグレーション・サービスを提供する取引市場。

 (1)は、企業の業務プロセス全般を支援する取引市場で,取引先との良好な関係を維持するためのサポートが提供する主なサービスとなる。(2)は,情報公開が不十分で不公平なマージンが稼げる非効率的な市場などの置き換えとなる。平等な情報公開によって価格の透明性と流動性を高まることにより,さまざまな商品の投機的な取引や先物取引なども可能になるとGartnerはみる。(3)は,別々に存在している取引商品と関連する業務プロセスを結びつけるサービスの取引市場で,現在はばらばらに存在しているサービスを統合することで取引市場やASP事業者,アプリケーション・ソフトなどの整理統合を加速させる。

 「企業が電子商取引市場で生き残るためには電子商取引システムの運用コスト増大の問題を克服し、緊密に統合化した業務プロセスを実際の取引活動に有効に活用できるインフラを整備することが重要だ。現在はまだ電子商取引を本格的に軌道に乗せようとしている企業は限られているが、次第に各企業が購入者、および販売者の両方の立場で電子商取引市場に参入してくるようになり、2005年頃までには50万社がB2B電子商取引を行なっているだろう」(Gartner)。

[Gartnerの発表資料]