(2000.9.5,Barbara Darrow=TechWeb News

 米Amazon.comがプライバシ条項の内容を一部改訂した。改訂したのは顧客情報に関する項目で,顧客情報を提携企業やその他の第3者に提供できるようにするもの。

 Amazon.com社のWWWサイトに掲載された条項によれば,「持続的成長を図るために,経営資源を売却したり購入することがある。こうした取引では通常,顧客情報が経営資源の一つとして譲渡されるものとなる。Amazon.com社および同社の全ての経営資源が買収される可能性は薄いが,顧客情報は譲渡される資産の一つとなる見込みである」(* BizIT注:同社のプライバシ・ポリシのページには,情報を第3者へ渡す前には顧客に通知する。顧客は個人情報を第3者へ提供されてもよいかどうか選択できるという条項も入っている)。

 プライバシ問題の専門家や消費者によれば,この改訂によってユーザの購買行動に関するデータが利用される恐れがあるという。一方で,Amazon社が顧客に対し条項の改訂についてきちんと開示したことを評価すべきとの見方もある。

 Amazon.com社は,この改訂が報道された翌日の9月2日に,顧客に対し次のような電子メールを送信した。「プライバシ条項は重要ですので,通常の変更ではWWWサイトを更新するだけのところ,本件ではこのように電子メールで通知させて頂きました」。

 Amazon.com社は,Drugstore.com社,Petsmart.com社,Greenlight.com社などの株式を保有するほか,2000万人を超える顧客を抱える。その一方で,なかなか利益が上がらないことにウォール街関係者の苛立ちも募るばかりという状況がある。プライバシ条項改訂によって,同社が顧客データを売りキャッシュを得ようとしているのではないかとの見方も出ている。

 コロラド州Denverにあるプライバシ保護団体Privacy Foundationの上級ディレクタのStephen Keating氏は,「Amazon.com社が持つ情報の価値は,恐らく数千万ドル以上に相当するだろう」と試算する。

 Amazon.com社のプライバシ条項改訂に関する懸念の一つに,同社のアフィリエイト・プログラム(アソシエート・プログラム)の問題がある。顧客が考えている以上に,Amazon.comは多くの情報を入手している可能性がある。例えばAmazon.com社は,自動車販売のGreenlight.com社と既に提携関係にあるが,顧客の運転に関する状況や信用情報なども獲得しているかもしれない。

 Amazon.com社からは,この件に関しコメントが得られていない。

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