「1999年における北米の企業間取引(B2B)に向けたマーケットプレイス仲介事業市場は,売上高ベースで前年比171%増の5億ドル近くの規模に達した。1998年は1億8300万ドルだった。オンライン事業に着手した既存のオフライン業者や新興企業のマーケットプレイス事業の勃興などが市場を牽引した」。米Gartner Groupが米国時間8月31日に調査結果を発表した。

 「1999年は,上位8社で市場全体の75.9%を占め,Ingram Microをはじめとしたオンライン事業仲介業者が市場をほぼ独占した。既存の事業をオンライン・モデルに組み込むのは比較的容易であるが,新興企業では苦戦しているところが多い。また,多くの産業で,需要誘発,品質保証,物流管理などといった付加価値を提供するサービス・モデルの方が取引手数料をベースにした事業モデルよりも成功している。多くのオフライン仲介業者は今のところ、まだ利益の確保が難しい状態である」(Gartner社ディレクタ,Leah Knight氏)。

 企業別のシェアでみると,Ingram Microが26.4%を獲得して2位以下を大きく引き離してトップ。Tech Dataが12.2%,Arrow Electronicsが11.9%で,それぞれ2位と3位につけた。成長率ではGraingerが633%の伸び率を達成し,トップとなった。


■表 1999年 北米の企業間取引マーケットプレイス仲介事業市場 企業別売上高ランキング
(単位:100万ドル)

企業名 99年売上高 99年シェア 98年売上高 98年売上高 成長率

Ingram Micro 131.2 26.4 53.5 9.2 145.2
Tech Data 60.6 12.2 18.0 9.8 236.0
Arrow Electronics 59.1 11.9 25.7 14.0 130.0
Avnet 37.7 7.6 17.3 9.4 117.9
Grainger 37.4 7.6 4.9 2.6 633.0
VerticalNet 19.7 4.0 3.0 1.6 556.7
FreeMarkets 15.7 3.2 5.9 3.2 166.1
Altra Energy Technologies 15.0 3.0 9.0 4.9 66.7
その他 121.2 24.1 45.9 25.1 164.0
合計 497.6 100.0 183.2 100.0 171.0

出典: Gartner (August 2000)

 Gartner社は注目のマーケットプレイスとして次の3つのカテゴリを挙げている。

・日用品のマーケットプレイス:
 大量取引に対応する。先物取引なども利用できる。

・ビジネス・サービスのマーケットプレイス:
 物流管理や金融サービス,保守/修理/運用サービスの調達など。特定の企業の業務をサポートする。

・インテグレーション・サービスのマーケットプレイス:
 リンケージやプロセスの定義を行い,提携企業間での業務プロセスに関するインテグレーションを高める。

 「2005年までに,これらの3つのマーケットプレイス・モデルが企業内向けのマーケットプレイス事業モデルに大きく転換していく。この3つのモデル全てに対応しようとすると失敗する。ニーズに応じた豊富なソフトウエアやサービスを備えた環境の構築に焦点を当て,強固な提携関係を築けば,その企業はそのカテゴリで高いシェアを獲得できる」(Knight氏)。

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