(2000.8.31)
 欧州では,WAP(Wireless Application Protocol)ベースのインターネット対応携帯電話方式が本格的な普及期にさしかかっている。これに伴って,中小モバイル・サービス事業者の淘汰と,Vodafone,Orange,Telecom Italia Mobileなどの少数の有力サービス事業者による寡占化が進むだろう---。

 これは,ハイテク市場調査およびコンサルティング会社のIDC社が8月29日明らかにしたモバイル・サービス市場の予測結果の一部である。IDC社の予測によれば,インターネットのコンテンツおよびアクセスにおけるYahooやAOLのような存在が,モバイル・サービス市場でも現れる可能性があるという。例えば日本については,NTTドコモのiモードがシェア6割を超える1000万人以上の圧倒的多数の加入者を獲得して,他の複数の中小モバイル事業者間の提携を促していると指摘している。欧州でも同様の現象が発生することが予想されるとしている。

 NTTドコモは現在,iモード加入者ベースで考えると世界で2番目に大きなISPであるが,数年のうちにトップになると見られている。IDCの予測では,Vodafone社とFrance Telecom Orangeがこれに続くという。

 IDCの上級アナリストTim Sheedy氏は,「モバイル・インターネットのキラー・アプリケーションはモバイル電子商取引(mコマース)とモバイル位置情報サービスである。これらのアプリケーションが立ち上がれば,WAP対応携帯電話のユーザーは爆発的に増加するだろう。モバイル・インターネット普及の鍵は,GPRS,UMTS,WAPといった方式の優劣ではなく,アプリケーションである。モバイルならではのアプリケーションがなければ,第3世代携帯電話サービスは余力を持て余すことになるだろう」と語っている。

 西欧におけるmコマースの今年の取引額は5120万ドルに過ぎないが,来年以降は急増して2004年には377億ドルに達するとIDCは予測する。IDC社はこのテーマに関して,今年の第10回欧州ITフォーラム(European IT Forum,9月11-13日,モナコ)でさらに詳しく議論する計画である。同フォーラムの予定議題,講演者,参加登録などに関する情報はhttp://emea.idc.com/forum/forum2000 から入手可能である。

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