LinuxおよびUNIX向けのデスクトップ環境開発を手掛けているGNOMEプロジェクトが,「GNOME Foundation」を創設したことを米国時間8月15日に明らかにした。サンノゼで開催中のLinuxWorld Expoで発表したもの。GNOMEプロジェクトはGNUプロジェクトの一環で,UNIXやLinuxにおけるデスクトップ環境の統一やオフィス・スイート製品の開発を目指している。

 GNOME Foundationは,組織的かつ財政的,法律的な面でGNOMEプロジェクトをバックアップするとともに,ロードマップやビジョン策定に当たっての協力も行う。米Compaq Computer,米IBM,米Hewlett-Packard(HP),米Sun Microsystems,米Red Hat,米TurboLinuxなどが,GNOME Foundationを支援することを表明している。既存のGNOMEに,上記の参加企業の技術を組み込んだ「GNOME 2.0」を2000年末ごろにリリースする予定である。GNOME 2.0には,ユーザ・インタフェースのほか,WWWブラウザ,オフィス・スイートが含まれる。

 なおGNOME Foundationの組織は,「Apache Foundation」をモデルにした。すなわち,ボランティアで参加している数百人の開発者から責任者を選び運営する。またGNOMEプロジェクトは,コンピュータ・ベンダやLinuxベンダで構成する諮問委員会の設置も明らかにした。前述のCompaq社などのほか,米VA Linuxや米Eazel,米Free Software Foundation,米Gnumatic,米Helix Code,標準化団体のObject Management Group(OMG)が参加する。

 GNOMEプロジェクトは,大きく以下の五つの内容から成る。

(1)LinuxおよびUNIX向けのデスクトップ環境(ユーザ・インタフェース)の開発
(2)Sun社の「StarOffice」をベースにオフィス・スイート製品を開発:Sun社は「StarOffice Suite」のソース・コードを公開することを7月19日(米国時間)に発表している
(3)Mozillaプロジェクトが開発したWWWブラウザ技術を,IBM社のSashXB技術とともに組み込む。
(4)GNOMEのユーザ環境の品質や信頼性,アクセシビリティを高める
(5)次世代インターネット機器の枠組みとしてGNOMEをプロモーション

 また各社の取り組みは以下の通りである。

 HP社はHP-UXに,Sun社はSolarisにGNOMEプロジェクトの成果を組み込む。Sun社は「GNOME 2.0 for Solaris」の早期アクセス版を2000年末ごろ,正式版を2001年半ばまでに用意する。Red Hat社やTuroboLinux社などのLinuxベンダも,デフォルトのユーザ・インタフェースとしてGNOMEを用いる。「結果としてUNIXやLinuxのユーザ・インタフェースの統一が図れる」(GNOMEプロジェクト)。

 Compaq社は,自社のハンドヘルド製品にGNOMEベースのアプリケーションを載せる。IBM社は開発ツールの面で貢献する。Eazel社はGNOME向けファイル・マネージャ「Nautilus」の開発を行う。Gnumatic社はLinuxベースの個人向け財務管理ソフト「GnuCash」を,Helix社はカレンダ/電子メール/アドレス帳の統合システム「Evolution」をそれぞれ開発する。

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[www.gnome.orgに掲載の発表資料1]
[www.gnome.orgに掲載の発表資料2]
[www.sun.comに掲載の発表資料]