「日本におけるのデジタル・カメラのローエンド市場は,現在の260万台の水準から年平均成長率46%で成長し,2005年に1770万台に達する。売上高は同24%で拡大し,2005年には4500億円に達する」。米InfoTrends Research Groupが米国時間8月21日に調査結果を発表した。

 ここでいうローエンドとは2万円以下(*)を指している。日本では,消費者が銀塩カメラからデジタル・カメラに買い換える動きが進んでいる。200万画素の製品の画質が,消費者の求めるレベルに達したことがキッカケとなった。また価格や機能の面で,銀塩カメラのエントリ機と肩を並べ始めたことも後押しした。

 InfoTrends社は,「ディジタル・カメラは,幅広く消費者を引き付けつつある。一方で,ユーザをサポートするインフラが市場の成長に追いついていない」(アナリストのMichelle Lampmann氏)と指摘する。

 DPEサービスが十分に提供されていないほか,銀塩フィルムのプリント・サービスなどに比べてコストも高い。オンライン写真サービスはまだ立ち上げ期にあるため,出来上がりまでの時間がかかるなど,既存のサービスと比べて競争力も弱い。消費者を引き付けるほどのインパクトを持つには至っていない。パソコンを所有していない世帯は,プリント・サービスが消費者のニーズを満たす十分なレベルに達するまではデジタル・カメラを購入しないとInfoTrends社はみる。

 ベンダ別にみると,富士写真フイルムとオリンパス光学工業が市場をリードしている。ソニーとキヤノンが競争力を高め猛追するが,製品ラインナップの豊富さでは上位2社に追いついていないと,InfoTrend社は分析する。

 「日本市場のデジカメ・ユーザにとっては,製品の機能が非常に重要。画素数での競争は,多くの消費者が200万画素レベルで満足しているため一段落している。その代わりに,光ズームや,小型でスタイリッシュなデザインといった外観などが重要になってきた。画素数は2001年には400万画素に届く見込みだが,消費者がすぐに次の解像度レベルの製品へ買い替えを急ぐことはないだろう」(InfoTrends社)。

(*)翻訳注:英文では20万円となっている。InfoTrends社に確認したが原文通りとの回答を得た。しかし,日本での実勢と,同社が過去に200ドル以下という価格帯区分を示していた経緯から,BizIT編集部の判断で2万円と修正した。

◎関連記事
2000年にディジタル・カメラ売上高は19億ドルに,銀塩カメラを10%上回る
デジカメの世界出荷台数は2000年に前年比倍増の1101万台
99年度デジ・カメ出荷、500万台突破--JEIDA発表
■国内の家電量販店におけるシェア情報はSalesWeek 3200でご覧頂けます。

[発表資料へ]