WWW(World-Wide Web)の利用者数が先月,過去最高を記録した。Nielsen/Netratingによれば,2001年10月のユニーク来訪者数は,前年同月比で15%増加し,1億1520万人に達したという。別の調査会社Jupiter Media Metrixの調べでも,前年同月比で20%増加して1億210万人を記録した。2つの調査会社の数字はかなり異なるが,統計の取り方が違うので仕方がない。いずれにしても,月間で1億人くらいのレベルには達したようだ。
特定サイトの寡占化が進む
最近のWWWの使用状況としては,特定のサイトに利用者が集まる傾向が顕著になっている。同じくJupiter Media Metrixによれば,昨年の7月にはWWWユーザー全体の約60%が毎月20個以上のWWWサイトにアクセスしていた。ところが,それからちょうど1年後にはその数が10個と半減した。サーチ・エンジンの使用率も減っている。行き当たりばったりに面白そうなサイトを探すという傾向が影をひそめ,かわりに目的意識を持って,特定のサイトを利用する傾向が強くなっている。
同じ傾向は,ニュース・サイト(インターネット・メディア)についても言える。この1年間でNYTimes.com(ネット・メディア業界で第3位)のトラフィックは66%増,同じくCNN.com(第2位)は80%,WashingtonPost.com(第5位)とLATimes.com(第8位)はそれぞれ50%増加した。MSNBC(第1位),CNN,NYTimes.comの上位3サイトで,ニュース・サイト全体のトラフィックの72%にも達する。急激に寡占化が進んでいることがわかる。
新聞社などニュース・サイトはWWWサイト全体の中での順位は低いが,AOLやヤフーなど上位ポータルにニュースを提供する事によって,間接的にインターネット上でのプレゼンス(存在感)を高めている。
ネット・ユーザーの29%が「以前より多くの時間をネットに割く」
世論調査機関Pew Research Centerが今年初めに実施した調査によれば,ネット利用者全体の29%は「以前よりも多くの時間をインターネットに割くようになった」と回答した。逆に「ネットに割く時間が少なくなった」との回答は17%だった。「多くなった」と回答した人は,その理由として「仕事や学校の勉強に必要だから」と答え,逆に「短くなった」人は「インターネットを使う必要がないから」と答えた。
すなわち「必要性があるから」使うのであって,「必要なければ使わない」という傾向が生まれている。当たり前のことに聞こえるが,要するに「レクリエーショナル(娯楽目的)に使う」ケースが少なくなりつつある,ことがポイントだ。インターネット,特にWWWは,中期的なトレンドとしては,テレビなど娯楽的なメディアではなく,仕事や勉強に使うためのツールという方向に進んでいる。インターネットは基本的には,リサーチの道具なのである。
こうした傾向はブームが始まる95年以前から見られたが,一時,インターネットの娯楽的な使用が注目され,現在はまた,以前の傾向に回帰しつつある,と見るのが正解であろう。もちろん,数年後にブロードバンドの普及によって,映画をはじめ,多彩なビデオがWWW上に本格的に流れはじめたとき,また娯楽的な方向に進む可能性は残されている。