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米マイクロソフト独禁法裁判の差し戻しが意味する“次”

米リアルネットワークスは米ネットスケープと同じ道をたどる?

2001/07/16

 次世代のオンライン音楽配信フォーマットで,米マイクロソフトと米リアルネットワークスが激しく対立している。ちょうどインターネット・ブラウザでみられた,マイクロソフト社と米ネットスケープ・コミュニケーションズの争いに酷似していると感じるのは筆者だけだろうか。

 世界のレコード会社は現在,インターネットを介した音楽配信に関して二つの陣営に分かれて競い合っている。一つは米AOL Time Warnerを中心とするMusicNet。もう一つは,仏Universal Music Group(UMG)とソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)米国法人が進めるpressplay(旧称「Duet」)だ。いずれも,次世代のオンライン音楽配信ビジネスへの準備を着々と進めている。

 2陣営の争点の一つが,オンライン音楽配信の「フォーマット」。このフォーマットの事実上の業界標準候補として有力視されているのが,マイクロソフト社が提供する「Windows Media」とリアルネットワークス社が開発中の新フォーマットの二つである。

 Music Netはリアルネットワークス社を中心にしてプロジェクトを進めているから,当然同社の音楽フォーマットを採用する。もう一方のpressplay陣営がどう動くかに注目が集まっていたが,ついに先週決着をみた。米国時間7月12日に,pressplayはマイクロソフト社と手を組むことを発表したのだ。これによって,「MusicNet - リアルネットワークス」対「pressplay - マイクロソフト」という構図が,明確になったのである。

 オンライン音楽配信のフォーマットとして,二つの規格が並存する可能性はもちろん残っている。しかしビデオ・テープからCDに至る音楽メディアの歴史を振り返ると,フォーマットはいずれかに収れんすることになろう。では,最終的な勝利を手にするのは,マイクロソフト社なのか,あるいはリアルネットワークス社のフォーマットなのか。

 これを予測するうえで参考になりそうなのが,一審の判断が覆ったマイクロソフト社の独禁法裁判である。この裁判で連邦控訴裁は米国時間6月28日に,マイクロソフト社の分割を命じた一審判決を覆して,連邦地裁に再審を命じた。この控訴審の判断は大きな意味をもつ。控訴裁の判断は事実上,「WindowsとIntenet Explorerの機能統合は,独禁法に抵触する悪質な抱き合わせ販売ではなく,消費者に利益にかなう正当な行為」と認めたことにつながるからだ。

 これによってマイクロソフト社は,OS(直近だと10月25日発売のWindows XP)に重要なアプリケーションを組み込んで一体化することがぐっと容易になった。そしてマイクロソフト社にとってインターネット・ブラウザに次ぐ新たな標的の一つは,間違いなくオンライン音楽配信フォーマットなのである。Windows XPには,Windows Mediaが一体化される。Windowsの90%という圧倒的な市場占有率は,もちろんWindows Mediaに有利に働く。オンライン音楽配信フォーマットでも,マイクロソフト社が事実上の業界標準を握る可能性が高い。

 ネットスケープ社はマイクロソフト社とのブラウザ戦争の後,結局は米AOL(America Online)の傘下に入った。さてリアルネットワークス社の運命は・・・。

※控訴審の判断について
 控訴審の判断には,多く四つのポイントがある。
 一つは,「米マイクロソフトはOS市場における独占を維持するために、不法な非競争的行為を働いた」として,一審の判決を支持した点だ。
 第2の注目点は,「その独占をブラウザー市場にまで拡大しようとした」ということについては,「その事実はない」として一審の判決を否定したこと。
 3番目のポイントでは,「Internet ExplorerをWindows 95/98に統合しようとしたことは、非競争的行為にあたるかどうか」については,一審の判決に対する支持,不支持を決めずに地裁に差し戻した。要するに,「もう一回考え直せ」と言ったわけだ。
 最後の4点目では,「Jackson判事のやり方には問題があった」と指摘した。
 こうした点を総合的に判断して,米国の法律専門家には「WindowsとIntenet Explorerの機能統合は,独禁法に抵触する悪質な抱き合わせ販売ではなく,消費者に利益にかなう正当な行為」と解釈する人が多い。

(小林 雅一=ジャーナリスト,ニューヨーク在住,masakobayashi@netzero.net)

■著者紹介:(こばやし まさかず)
1963年,群馬県生まれ。85年東京大学物理学科卒。同大大学院を経て,87年に総合電機メーカーに入社。その後,技術専門誌記者を経て,93年に米国留学。ボストン大学でマスコミの学位を取得後,ニューヨークで記者活動を再開。著書に「スーパー・スターがメディアから消える日----米国で見たIT革命の真実とは」(PHP研究所,2000年),「わかる!クリック&モルタル」(ダイヤモンド社,2001年)がある。

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