Bruce Schneier Counterpane Internet Security
「CRYPTO-GRAM July 15, 2005」より

 著作「Beyond Fear」の中で次のように述べた。「『知らない人とは絶対に話してはいけません』と教えられる子供は多い。これは,セキュリティ面のメリットがとても小さくなる極端な予防策だ」

 もっとはっきりと書こう。「知らない人と話すな」と教えることは,子供に対する指導としては最悪であると思う。ほとんどの人は好意的で手助けをしてくれる。困っているときに見知らぬ人に助けを求めることは,子供が実行できる最良の対応策だろう。

 見知らぬ人に助けを求めるよう教えていれば,Brennan Hawkins君は助かったかもしれない。11歳の男の子であるBrennan君は,先月,ユタ州の荒れ地を4日間さまよった。Brennan君は知らない人と話さないよう言われていたので,自分を探す人たちから身を隠したのだ。

 善人ばかりで悪人がほとんどいない世の中では,たまたま出会った人を善人と判断することは優れたセキュリティ戦略である。我々は,危険を直感で判断できるよう子供に教えてやらないといけない。過剰なルールを課しては駄目だ。

 Beyond Fearでは次のようにも書いた。

 「我々は個人と社会との両方の立場で,自らのセキュリティを選べる。セキュリティを高めることも下げることも可能だ。生活や自由に対する制約を強めたり弱めたりできる。ほかの人たちが許容や決断のできないようなリスクとセキュリティ対策であっても,我々は自分たちの希望通り選択できる」

 「個人の立場では,自分たちの安全を高めるために家庭向け警備システムの購入を決めてもいい。そうしたセキュリティシステムは無駄であると判断してお金を節約してもいい。テロが怖いからといって旅行しないことも,世界の素晴らしさを知りたいからと世界中を飛び回るのも自由だ。攻撃される可能性を考えて見知らぬ人を恐れることもできる。友達になれるかもしれないからと,他人とおしゃべりすることもできる」

http://wireservice.wired.com/wired/story.asp?...

Copyright (c) 2005 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Talking to Strangers」
「CRYPTO-GRAM July 15, 2005」
「CRYPTO-GRAM July 15, 2005」日本語訳ページ
「CRYPTO-GRAM」日本語訳のバックナンバー・ページ
◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
◆オリジナルの記事は,「Crypto-Gram Back Issues」でお読みいただけます。CRYPTO-GRAMの購読は「Crypto-Gram Newsletter」のページから申し込めます。
◆日本語訳のバックナンバーは「Crypto-Gram日本語訳」のページからお読みいただけます。
◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。