スパイウエアに関する問題は,立場によって変わる。スパイウエアという一般的な問題を非難する一方で,自社製ソフトウエアで情報を集めてサーバーに送り返す,ということを行っている企業が存在する。

 こうしたことは利害の衝突を引き起こす。「スパイウエアをスパイウエアとみなすのは,スパイウエアに関与する企業が傘下にない場合だけ」といった具合だ。最近こんなことがあった。「米Microsoftのスパイウエア対策ソフトウエア『Windows AntiSpyware』が,米Clariaのアドウエア製品をパソコン・ユーザーに対する脅威として分類しなくなった。Claria社は議論の的になっている広告配信ソフトウエア『Gator』を配布している企業だ。Microsoft社は,ひそかにWindows AntiSpywareの機能を落としてClaria社の製品を検出しないように変更していた。両社のあいだで買収に向けた交渉が行われているとの報道があってから1週間もしないうちに,セキュリティ研究者はこのことに気付いた」

 あなたがAntiSpywareのユーザーなら,この機能低下は修正できる。デフォルト設定ではClaria社のスパイウエアは「Ignore」(無視)に分類されるが,これを「Quarantine」(隔離)か「Remove」(除去)に変更できる。私は「Remove」を推奨する。本当は,別の製品を使うよう勧めたい。

http://www.eweek.com/article2/0,1895,1834607,00.asp

Copyright (c) 2005 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Redefining Spyware」
「CRYPTO-GRAM July 15, 2005」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。