プライバシ保護に関する非営利団体PrivacyActivismは,米国の2大データ販売業者である米ChoicePointと米Acxiomに関する調査結果を発表した。調査の目的は,データの正確さと,身元調査書の作成にかかる時間を調べることにある。
結果は芳しくない。
PrivacyActivismのプレスリリースから引用しよう。「ChoicePoint社が提出した身元調査書を調べると,今回の調査に参加した11人全員のデータに誤りがあった。身元調査書の大部分で,氏名,社会保険番号,住所,電話番号といった最も基本的な個人情報が間違っていた(間違いのあった報告書の割合は,Acxiom社が67%,ChoicePoint社が73%)。さらに参加者の40%以上が,Acxiom社から調査書を受け取れなかった。ある参加者は,請求から調査書の入手までに平均3カ月かかった」
PrivacyActivismの上級ディレクタであるDeborah Pierce氏と話したところ,興味深い点を二つ教えてくれた。
1点目は,合法的な調査実施が非常に難しかったという点。現在のところ,データ販売業界を監視する仕組みなど存在しない。調査に先立ちPrivacyActivismは,何らかの形で従業員の身元調査を行っていて,調査に協力することの重要性を認識している企業を探す必要があった。そして調査に参加する企業が,従業員に匿名で協力するよう依頼した。
2点目は,データの質のあまりの悪さに驚いたという点。最もショッキングだった間違いは,11人中2人が,調査書では聞いたこともない企業のディレクタにされていたことだったという。この調査結果は統計的にはあまり意味がないものの,恐ろしいことは確かだ。
PrivacyActivismのプレスリリース:
<http://www.privacyactivism.org/Item/220>
PrivacyActivismの調査結果:
<http://www.privacyactivism.org/DataAggregatorsStudy>
Copyright (c) 2005 by Bruce Schneier.
◆オリジナル記事「Accuracy of Commercial Data Brokers」
◆「CRYPTO-GRAM June 15, 2005」
◆「CRYPTO-GRAM June 15, 2005」日本語訳ページ
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。