セキュリティ・システムは,例外なく新しい脅威をもたらす。実際こんな例がある。

 「英国の自動車関連団体RAC Foundationは昨日,高速道路に初めて設置されたカメラ付き自動速度取り締まり機に関する緊急報告書を公開した」

 「RAC Foundation上級ディレクタのEdmund King氏によると,速度取り締まり機はドライバの運転マナー改善に全く役立っていないという。それどころか,ウィルトシャー州にある4号線のインターチェンジ14番から18番では,車が一団となって高速走行しているそうだ」

 「取り締まり機は,『Wiltshire and Swindon Safety Camera Partnership』が4号線全体の事故を減らす目的で導入した。しかしほとんどの車は,罰金を科せられる時速79マイル(時速約127km)ぎりぎりの速度で走るようになった」

 自動速度取締り機に対応するために,ドライバは「カメラに撮影される速度をわずかに下回る速度で走る」という露骨な戦略を採用している。おそらくオート・クルーズ機能を使っているだろう。そのため,高速道路では,さまざまな速度の車が適切な車間距離をあけて走るのではなく,同程度の高速で走る車が密集して数珠つなぎの集団を作るようになった。これは,数珠つなぎで走行しているドライバと制限速度を守っているドライバに思いがけない危険をもたらす。

 結果的に,平均速度は下がらずに上がってしまった。

http://www.telegraph.co.uk/news/...
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Copyright (c) 2005 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「New Risks of Automatic Speedtraps」
「CRYPTO-GRAM May 15, 2005」
「CRYPTO-GRAM May 15, 2005」日本語訳ページ
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。