<http://www.schneier.com/blog/archives/2005/01/...>

 米国政府は,国家レベルの事件が発生した場合に,米国のGPS用衛星ネットワークを一時停止する計画を検討している。停止の目的は,テロリストによる悪用を防ぐためだ。

 国家レベルの大事件が起きた場合,GPS技術の恩恵を受ける人の数は,テロリストなどの悪人よりも善良な人々の方がはるかに多い。GPSを止めると,まず間違いなく弊害がメリットより大きくなる。

 GPS停止の話を聞くと,マドリードの列車爆破テロ事件後に出た「テロ攻撃時に携帯電話ネットワークを停止できる手段を開発すべき」という意見を思い浮かべてしまう(この事件の犯人は携帯電話機を使って爆弾を爆発させたが,爆弾に取り付けた携帯電話機に電話をかけたわけではない)。テロ攻撃後,携帯電話システムは救助隊と生存者の両方にとって命綱となる。

 どんな技術でも有効利用と悪用の両方が可能だ。例えば,自動車や電話,暗号がそうだ。ほとんどの場合,よい目的で技術を使いたいなら,悪用を受け入れるしかない。善人の方が悪人よりはるかに数が多いし,有効利用されるケースの方が悪用されるよりも多いので,「悪用を受け入れる」という考え方で問題はない。

<http://www.securityfocus.com/news/10140>

Copyright (c) 2005 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Shutting Down the GPS Network」
「CRYPTO-GRAM January 15, 2005」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。