多くの米国人にとって,年末は慈善事業への寄付を行うシーズンだ(寄付の目的は税金の減額である)。寄付するに値する組織が世界中で数多く活動しているが,私は電子プライバシ情報センター(EPIC:Electronic Privacy Information Center)に少額でよいから寄付するようお願いしたい。

 EPICは10年前に設立された。それ以来,プライバシ,表現の自由,民主主義の保護に関する活動を続け,インターネットの将来に関する世論も高めてきた。また,インターネットでのプライバシや言論の自由をテーマとする充実したWebサイトを運営している。情報公開法(FOIA:Freedom of Information Act)や憲法修正第1条(First Amendment),さまざまなプライバシにかかわる事件について訴訟も起こしている。“オープンな政府”やプライバシに関する書籍も出版している。ロー・スクールの学生を対象に,インターネットと公共の利益について教育も行っている。市民の自由に関して新たな問題が出現すると,そのたびに議会で何度も証言している。プライバシに関する情報源の充実したリストや,プライバシに関する実用的なツールのガイドも提供している。

 以前,米JetBlue Airwaysなどの航空会社が,自社のプライバシ・ポリシーを破って,搭乗者の情報を米政府に渡したことがある。この件が公になったときのことを覚えているだろうか?あるいは,搭乗者向け経歴調査システム「CAPPS-II」が,テロ防止以外の目的で使われるとの情報が明らかになったときのことを覚えているだろうか?EPICはFOIAにのっとった活動を通じ,こうした行為を暴露した。

 基本的人権を保障した権利章典(Bill of Rights)は,213年前の12月15日に成立した。もう一度読み直し,米国の安全がいかに多くの法律で守られているかを再認識しよう。私は,EPICの諮問委員会のメンバーであることを誇りに思っている。EPICは優れた活動を行っている。そのおかけで,我々全員のセキュリティは向上している。

EPICのWebサイト:<http://www.epic.org/>

米国の権利章典:<http://www.archives.gov/...>

Copyright (c) 2004 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「The Electronic Privacy Information Center(EPIC)」
「CRYPTO-GRAM December 15, 2004」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。