<http://www.schneier.com/blog/archives/2004/10/...>

 Ampersand氏はオレゴン州に住んでいる。同州では,選挙の投票をすべて郵便で済ませられる。同氏は庭の芝生を刈り込み,「No on 36(修正案36に反対)」というメッセージを外から見えるようにしている。オレゴン州の有権者の多くが投票用紙を受け取る月曜日,このメッセージが何者かに踏み荒らされ,郵便受けが盗まれた。この行為の目的を,同氏は「投票用紙を奪い,修正案36への反対投票を阻止しようとした」とみる。実際には,Ampersand氏はたまたま2日前の土曜日に投票用紙を受け取っていた。そうでなければ,簡単に盗まれていたはずだ。

 ブログ・サイト「Alas A Blog」への同氏の投稿には,次のように記されている。「月曜日に何者かが庭に侵入し,『No on 36』のメッセージを踏み潰し,郵便受けを盗んでいった(その中には,月曜に配達された郵便物が入っていた)」

 「私には,これが単なる無差別の破壊行為と思えない。オレゴン州は,先週有権者に投票用紙を郵送した(オレゴン州では,郵便で投票できる)。非常に多くの有権者が,月曜日に投票用紙を受け取った。だから,何者かが私の郵便受けを盗んで投票用紙を奪い取り,修正案36への反対票を投じられないよう仕組んだのではないかと思う」

 私は,各地で繰り広げられている活動とこの事件に関連はないとみている。ところかまわずこうした行為を犯している者がいて,郵便受けを壊すのに飽きたから郵便物ごと盗んだのだろう。郵便物を盗むのは,配達されてから住人が帰宅するまでのあいだに済ます必要がある。つまり昼間なので,捕まらないように逃げるのが難しい。

 ただし,投票用紙の配達日時が正確に予測できて,芝生で政治的な意見を表明することが流行すると,対象を極めて絞り込んだ攻撃が可能になる。この点は興味深い。

<http://amptoons.poliblog.com/blog/001231.html>

Copyright (c) 2004 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Mail-in Ballot Attack」
「CRYPTO-GRAM November 15, 2004」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。