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ITpro Security

[CRYPTO-GRAM日本語版]研究活動の自由とセキュリティ

勝村幸博 2004/11/22 ITpro

<http://www.schneier.com/blog/archives/2004/10/...>

 暗号学(cryptography)は秘密のコード(暗号)を扱う科学であり,ハッカーやサイバー犯罪,サイバー・テロと戦うための,インターネットにおける基本的なセキュリティ・ツールである。そして「CRYPTO」は,暗号をテーマとする最も歴史のある国際カンファレンスであり,サンタバーバラで毎年8月に開催される。

 2004年のCRYPTOには,数十件のセッションを聴くために30カ国から400人が集まった。ただし,Lu Yi氏は論文をカンファレンスで発表するはずだったのに参加できなかった。同氏はスイスで研究している,博士号を持つ中国人学生だったため,ビザの発給がCRYPTOの開催に間に合わなかった。

 3年前に起きた9月11日のテロ事件以降,米国政府はテロリストの入国を阻止するため,さまざまなセキュリティ対策を国境地点に導入してきた。こうした対策の一つが,外国人に対するビザ発給の引き締めだった。これが米国の旅行業界にダメージを与えたことは間違いないが,研究活動に対してはそれ以上に深刻で長期的な悪影響を与えている。

 米国大学協会(AAU)の調査によると,多くの大学において,海外からの願書提出が2003年に比べて10%以上少なくなったそうだ。2003年度における学生ビザの発給件数は9%減った。大学院審議会(CGS)による調査では,海外から米国の大学院への願書は32%少なくなったという。

 面倒なビザの問題を避けるというだけの目的で,研究関連のカンファレンスや会議,セミナーを米国外で開催する傾向が強まっている。

 この影響はあらゆるハイテク業界に及ぶ。皮肉なことに,とりわけ米国のテロ対策にとって必要不可欠な技術に大きな影響を与えている。

 CRYPTOと同じく8月,コネチカット大学――CRYPTOの開催地とは北米大陸のちょうど反対側に位置する――において,第2回International Conference on Advanced Technologies for Homeland Security(国防向け高度技術国際カンファレンス)が開催された。このカンファレンスには,さまざまな分野の研究者が集まった。化学痕跡検出,コミュニケーション適合性,X線走査,各種センサー,データ・マイニング,有害物質防護服,ネットワーク侵入検知,爆発物拡散,遠隔操縦の無人航空機――といった分野の研究者が,テロ対策に有効な,膨大な科学的ノウハウを解説した。

 米国政府が「必要な研究は我々だけで行える」などと考えるのは間違いだ。コネチカット大学で行われたカンファレンスでは,米国の大学で研究している多くの外国人が研究成果を発表した。CRYPTOでは,執筆者が米国人だけの論文は全体の30%しかなかった。今年のCRYPTOで発表された最も重要な発見は,4名の中国人研究者によってなされた。インターネット上で重要情報の正真性を守る数学的機能の弱点に関する研究だった。

 海外の研究者に対して,米国で開催される技術的なカンファレンスへの出席を拒むたび,我々のセキュリティは損なわれている。優秀な技術系の大学院生を追い返すたびに,我々のセキュリティは損なわれている。技術は対テロ戦において最も有効な兵器の一つであるが,米国のセキュリティにとって必要不可欠な国際協力や開発作業を我々は進めていない。

 セキュリティは常にトレードオフである。セキュリティ対策というものは,すべての人々――悪人と善良な市民の両方――に影響を与える。米国の新しい移民規則は,ビザを持って米国に入国しようと企む少数のテロリストに影響を与える。同じように,同様の方法で入国しようとする普通の人々にも影響を与えるのだ。

 あらゆる科学分野は国際化されており,カンファレンスや大学での研究活動では,自由でオープンな情報交換が行われる。こうした活動が,本土防衛に不可欠な技術を最大限進歩させる。かつてソ連は研究活動の自由を国内だけに制限しようとしたが,よいことは何もなかった。我々は同じ轍を踏んではいけない。

Copyright (c) 2004 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Academic Freedom and Security」
「CRYPTO-GRAM October 15, 2004」
「CRYPTO-GRAM October 15, 2004」日本語訳ページ
「CRYPTO-GRAM」日本語訳のバックナンバー・ページ
◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
◆オリジナルの記事は,「Crypto-Gram Back Issues」でお読みいただけます。CRYPTO-GRAMの購読は「Crypto-Gram Newsletter」のページから申し込めます。
◆日本語訳のバックナンバーは「Crypto-Gram日本語訳」のページからお読みいただけます。
◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。


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