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問 松本社長は,毎日,「マネックスメール」というメールマガジンの中で,ご自身のいろいろなお考えを「マネックス社長・松本大のつぶやき」と題して配信していますね。その中で私が最近印象に残っているのが,松本社長が大学を卒業して外資系証券会社に就職するときの話です。「小学生から大学までの6・3・3・4の計16年,勉強してきたのだから,最低でも16年間は外資系証券会社で仕事をしようと決断した」とのことでした。にもかかわらず,高校に相当する約10年目でマネックスを起業しましたね。いわば「高校中退」です。なぜ3年前に,前職のゴールドマン・サックス(米大手証券会社)を退職するという進路変更の道を選んだのですか。
マネックス起業は「不本意」だった
松本社長(以下,敬称略) 不本意だったんですけれども。少なくても,あと4年とか5年とかしっかりやりたかったし,必ずしも起業するというのは私の基本的な考え方ではなくて,余り起業とかそういうのは興味がなかったんですが,どうしても当時の状況を考えると,オンラインとか,個人とか,株とか,そういったことがすごく気になって,今だれかがそういうオンライン証券を始めるべきだという気持ちがすごく強くあって。もともとゴールドマン・サックスに対して,「それを一緒にやりましょう」というふうに提案したんです。けれども,ゴールドマンサックスは「機関投資家しか相手にしないという理由から、でできない」ということだったので,やむを得ず辞めた、と。ですから,「大学ではどうしても理系に行きたかったんだけれども,その学校には文系しかなかったみたいな」(笑),そんな感じで辞めざるを得なかったという感じなんですけど。
問 なるほど,今の高校生諸君も,やはり大学に進学するときに文系か理系か迷う人が多いと思いますからね。そうすると,起業するのはやはり不本意だったということですか。
松本 そうですね。起業は不本意でやったと。
問 中でやりたかったと。
松本 うーん・・・。中でやりたかったというか,起業しようという発想が皆無だったんですよね。
問 皆無だったんですか。ところが,インターネットの流れとか,オンライン証券取引みたいなことが出てきて,これは大きなマーケットになるという確信はあったわけですよね。
松本 うーん。確信はありましたね。でも,それがおっちょこちょいであったのか,そう思ったらたまたま本当にそうなったのか,ちゃんとした理由があって思ってそうなったのかというのは,結果論なのではっきりはわからないんですけれども。
問 そうですか。
松本 個人的には確信があったつもりです。
問 それで今,マネックス証券は満3歳になりましたね。
松本 はい。
問 この3年間を振り返っていただいて,決して順風満帆ではなかったと思うんですが,一番苦しかったこと,悩んだことというのを,2〜3挙げていただけますか。
松本 最初の半年とか1年というのは本当に苦しくて,それは会社を立ち上げることももちろん大変なわけなんです。徹夜も続きましたしね。でも,そういったことは本当の苦しさではなくて,当初はシステムのトラブルとかもあって,それも苦しかったけれども,一番苦しかったことでは多分ない。システム・トラブルというのは当初だけなわけですよ。今はない。昔も苦しかったし,今も引き続きやはり大変だと思うのは,旧体制,アンシャンレジームに対する挑戦を我々はしているわけであって、それがこの仕事をしていて今だに一番苦しいことだと思います。
最も苦しい「旧体制への挑戦」
問 外から見ていますと,ネット証券の新興勢力は口座数を見ても,売買高を見ても,個人投資家の株式マーケットでは古い体制を打ち崩したとという感じがするんですが,まだまだだと。
松本 いや,まだまだ。
問 まだまだですか。古い体制というのはどういうことでしょうか。制度ですか。
松本 制度であるとか,あるいはプレーヤーもそうだし。
問 プレーヤー自身もそうですか。それはトラディショナルのプレーヤーということですか。
松本 旧態依然とした金融機関というのはいっぱいあるわけであって。でも,それは金融機関だけではなくて,メディアもそうです。一方で旧体制に対する批判とかをしながらも,本当に新しいものを押し出そうというふうにしているのか,やっぱり旧体制先にありきなのかは、必ずしも全体としては明らかではないと思うし。政府とかそういうのもそうだし。それは本当に新しい考え方とかやり方というのが旧体制に取りかわっていくというのは、簡単なことではないと思うんですよ。それは今まだ始まったばかりだと思います。
問 そういう意味で言うと,いわゆる金融当局に対して具体的な要望みたいなものはあるんですか。
松本 いや,当局というのは,今言ったいろいろな関係者の中では,僕が思うには,恐らく最もリベラルで。
問 なるほど。それはおもしろい。
松本 最も旧ではない、と私は思いますけどね。
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