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記者の眼

道遠し,いつでもどこでも使えるIP電話

林伸夫 2005/06/21 ITpro

 サンフランシスコへの取材旅行で,今回,実に便利・快適な経験をした。インターネット電話Skypeに,サンフランシスコのエリア・コードである415で始まる番号を購入して現地入りしたのだ。地元の取材先との電話連絡はSkypeのみ。相手がSkypeユーザーなら無料,固定電話や携帯電話ユーザーにはSkypeIn,SkypeOut(後述)で双方向電話連絡を行った。現地で高い携帯電話を借りずに済み,経費削減に役立った。この間に使ったのは,実質数100円程度だろうか。

市内通話の気軽さ

 SkypeとはLinux,Windows,Mac OS XなどさまざまなパソコンやPocketPCで使えるインターネット電話。Skype同士なら無料で通話できるが,一般の電話に発信するにはSkypeOut,着信させるにはSkypeInという仕組みを使う(関連記事)。

 SkypeOutを使うには最低10ユーロ(約1300円)前払いしておく。そこから利用しただけが引き落とされる。一方,固定電話や携帯電話からかけてもらうためにはSkypeが用意したSkypeInの電話番号を買う。SkypeIn電話番号は現在のところデンマーク,ポーランド,フィンランド,スウェーデン,フランス,英国,香港,そして米国内の電話番号がどの国のユーザーであろうともオンラインで即座に購入できる。

 SkypeInの料金は3カ月有効が10ユーロ,12カ月有効で30ユーロ。米国内の電話番号はニューヨークからカリフォルニアまでほとんどどの地域の電話番号でも購入できる。今回の取材先はサンフランシスコだったから,購入した番号は地元の415。相手がSkypeユーザーでなく,携帯電話を使っている場合には,この415番号に「市内通話」でかけてもらえばよい。

 私がSkypeアプリを立ち上げていない場合は,SkypeInに無料で付属している留守番電話にメッセージが残っているから,後ほどゆっくり電話すればよい。携帯電話のように,どこでもいつでも着信させるようにはできない。しかし,会議に出席している身には,むやみやたらと着信音が鳴らない,この方が好都合だ。

 取材先には無線LANによるブロードバンド・インターネット・サービスが完備されていたし,ホテルの部屋では有線,ロビーでは無線の両方のアクセス回線が来ていたから,ほとんどの用事は滞りなく済ませられた。食事中に次のスケジュール変更の連絡が飛び込んでくるといったときや,待ち合わせ場所で迷子になったなどのときは携帯電話に負けるが,通常の仕事の打ち合わせには十分に機能する。

 しかも,サンフランシスコには無料の無線アクセス・ポイントがあちこちにある。たとえば,ユニオンスクエア一帯もフリー・スポットだ。PocketPCを持っていればベンチに座って会話が楽しめる。かなりユビキタスな世界が現実のものとなっている。

日本ではSkypeInの電話番号を取得できない

 さて,日本に帰着して,同様のことをやろうと思うと,はたと壁に突き当たる。日本ではこうしたインターネットを通じてサービスが行われるタイプのIP電話には,総務省が着信用の電話番号を発行しないからだ。

 インターネットを通じると,途中の経路が保証されず,通話品質が総務省の定める品質レベルに達しない可能性がある。たまに音の揺らぎ,最悪の場合には切れてしまうことだって起こるかもしれない。光ファイバを使ったインターネット回線でも,一般には「ベストエフォート」といわれる回線を提供しているために完全な保証はされない。これがSkypeなどに050番号が割り振られることのない理由の一つだ。

 ましてや上述のような地域の固定電話番号を意味する市外局番付きの番号を付与してもらうことは全く不可能だ。03や045で始まる,市外局番付き番号を付与してもらうためには,音声品質はさらに高いものが要求されるとともに,緊急電話への発信機能なども完備しておく必要がある。これに該当するのは一般の固定電話である。IP電話だと,市外局番を指定しても実際の利用場所は地球上のどこになるか分からない,ということも番号付与されない理由でもある。

 しかし,Skypeは通話の音質が良いのが特徴だ。ADSL回線を使いイヤフォンなどで通話を行うと,相手の息づかいまではっきり聴こえて来る。通常の固定電話を使うより,明らかに音質は良い。また,回線の込み具合に応じてコーデックやエンコーディングのビットレートを動的に変更するなどの技術を盛り込んでいるから,回線スピードが落ちてきても,それほど明瞭度が落ちてこない。

 そんなふうにさまざまな工夫を加え,一般の固定電話よりも音声品質が良いにもかかわらず,音声パケットを通す際のQoS(Quality of Service:サービス品質)を持たない一般のインターネットを通過することがあるために,日本では着信用電話番号が割り振ってもらえない。

 また,NTTコミュニケーションズもプロバイダ(アクセス回線)を選ばないIP電話サービスを始めようとして,この壁にぶち当たってしまった。2004年,プロバイダを選ばず接続できるIP電話サービスとして誕生するはずだった「ドットフォン パーソナルV」は大きな軌道修正をして,サービスインした(関連記事)。「一般のインターネットを経由する可能性があるならば,高い音声品質を確保できない。したがって,050番号は付与できない」と総務省が首を縦に振らなかったためだ。NTTコムはそのため,当初最大の売りとしていた「プロバイダフリー」のコンセプトを捨て,NTTコムのVoIP網を経由するプロバイダのみに限定して運用開始した。

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