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ZigBeeって本当に大丈夫?筆者は日経バイトの2005年6月号でZigBeeの評価キットに触る機会を得た。ZigBeeとはビル内の照明や空調装置,防犯装置などを無線でつなぐ,いわゆるセンサー・ネットワークのための無線技術である。標準化団体のZigBee Allianceは2004年12月に,バージョン1.0仕様を完成し,2005年4月にはこの仕様に沿った4製品を認定している。今後,ZigBeeの仕様に沿った製品で作られたセンサーネットの実用例が発表されると期待される(ZigBeeとセンサーネットの関連記事はこちら)。 ところが,実用化間近になっても,ZigBee Allianceの会員以外がZigBeeに関して得られる情報はあまり多くない。一般に公開しているのは,概略を書いたホワイト・ペーパーやプレゼンテーション資料のみ。仕様書や無線特性の実験データなどは,一般に公開していない。そこで公開されていないZigBeeの動作原理の詳細や無線特性を調べてみようと思ったのが記事執筆の動機だ。 実験の一環として,以前から気になっていた無線LANとの干渉を調べた。ZigBeeは無線LANのIEEE802.11b/g規格の無線LAN機器が使う2.4GHz帯を利用する。そのため,無線LANとZigBeeの中心周波数帯が近いところでは相互に干渉する可能性が十分にある。 無線LANがZigBeeの通信を妨げる まず,最初に調べたのが,無線LANの通信がどの程度ZigBeeの通信に影響を及ぼすかである。実験は日経バイト編集部が入居するビル内で行った。このビルは35m×30m程度でオフィススペースはL字型をしている。ちょうど,L字の腹の部分に無線LANアクセス・ポイントと無線LAN端末を置き,この間で間断なくデータを流した。
ZigBeeノードは二つ用意した。L字の端に1台のノードを固定しておき,もう1台のノードを5mずつ離しながら,接続状態を確認した。送信電力は1mWに固定した。無線LANとZigBeeの干渉を最大にするため,無線LANを7チャネル(中心周波数2442MHz),ZigBee側の中心周波数を2440MHzに設定した。 ZigBeeも無線LANに速度低下をもたらす 逆にZigBeeが無線LANに与える影響も調べた。 実験では,無線LANアクセス・ポイントと無線LAN端末をそれぞれ1台,ZigBeeノードを6台用意した。ZigBeeノードはすべてアクセス・ポイントの半径50cm以内に設置した。無線LAN端末はIEEE802.11gの方式を使い,アクセス・ポイント経由で連続的にサーバーと通信させる。この状況でZigBeeが通信したときに,無線LANのスループットに与える影響を調べた。ZigBeeノードはホップせずに1対1でつながる場合と,4ホップしてつながる場合で調べた。ZigBeeと無線LANの中心周波数はそれぞれ2440MHzと2442MHzに固定した。
評価キット付属のソフトウエアの制限上,ZigBeeのノードをホップなしで接続した場合,片方向の通信で1秒ごとに最大90バイトずつしか送信できない。つまり,1秒間に空間に流れるデータ量は720ビット/秒である。6台のノードを使って4ホップさせると,同じパケットが空間中に5回流れるため通信量は3600ビット/秒。ZigBeeは反対方向にも同時に送信できるので,単位時間当たりのデータ流通量はその倍になる。つまり1組あたり1440ビット/秒,4ホップで7200ビット/秒になる。 このようにZigBeeによって無線LANが大きく速度を落とすのは,無線LANでキャリアセンス機能が働いているためだと思われる。キャリアセンスとは,フレームを送信する前に,電波の状況を確認し,もし誰かが通信していれば一定時間たってから再度通信する仕組みである。再度送信しようとする際も通信を検知したら,また一定時間待つ。ZigBeeが連続的に通信していると,無線LANはチャネルが別の端末によって占有中だと判断して,通信を待つのだろう。 導入時には十分な調査が必要
この実験の結果を見て筆者は,ZigBeeの実用に不安を持った。ZigBeeの利用シーンとして電灯やエアコンの制御があるが,スイッチを入れたのに,電灯やエアコンが点かないのでは困る(関連記事はこちら)。窓の破壊やドアの開閉,火災などを検知するホーム・セキュリティ用センサー・ネットワークをZigBeeで構築する話もあるが,火事や泥棒に入られたとき,警報が鳴らないかもしれないと思うとかなり不安だ。 (中道 理=日経バイト) |