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そのメールが相手の怒りを招くライブドアの堀江貴文社長に,仕事でのメール活用術に関して取材する機会があった。ニッポン放送株取得発表の前日の2月7日だったため,買収に関する話は聞けなかったが,堀江氏のメール活用術は非常に興味深かった。 堀江氏が1日にやり取りするメールは,実に1日5000件に上る。その大部分は,ライブドア社内の部署やプロジェクトといった単位で立てているメーリング・リストのメール,それに社員1200人が書く業務日誌のメールだ。堀江社長はキーボードを使って,スライド・ショーのように0.5秒〜数秒のピッチでメールの本文を次々に画面上に表示させていく。そのなかから経営トップとして必要な情報を拾い出して現場の動きを把握し,適宜メールを送って指示を出す。 もちろん重要な案件についてはフェース・トゥー・フェースで話すが,出席する会議は1日2件ほど。情報収集や議論,指示といった経営トップとしての仕事の多くをメールで行っているという。 相手の感情を傷つける攻撃的メールが増加 メール主体で仕事を進めることの是非については,意見が分かれるかもしれない。ただし急成長企業を率いつつ,自ら広告塔として精力的にテレビ出演もこなす堀江社長にとっては,「当たり前の仕事のやり方」(堀江社長)である。 ITの現場でも,コミュニケーション手段としてメールの比重を高める傾向が顕著だ。重要事項に関する連絡,ややこしい議論といった用途にもメールを使うケースが増えており,今や1日に数百件のメールを受け取るITエンジニアも珍しくない。システムごとの利害関係者の増加,機能の複雑化,説明責任の強化といった状況変化に対応するために,ある意味で必然的な流れと言えるだろう。 ただしそれに伴い,コミュニケーション上のトラブルを引き起こす“問題メール”が増えている。典型的なのは,何が言いたいのかはっきりしない「用件が分からないメール」,無駄に長々と書かれているような「処理しづらいメール」といったところだろう。そんなメールにならないように,冒頭で用件を言い切る,メールの本文全体を個条書きの構成にする,といった心がけや工夫をしている人が少なくないと思う。 ここでは,見過ごされがちなもう1つの“問題メール”について取り上げたい。それは,「相手の感情を害するメール」だ。といっても,「こんな提案書が通用すると思ってるのか。すぐ作り直せ!」というような,直接的に相手を罵倒するメールではない。表現は丁寧なのに,読み手の気持ちを傷つける。そんなメールを受け取ったことがないだろうか。例えば次のようなものである。
この提案書は専門用語が多く, 一読して,相手が怒って冷たく突き放すように書いてきたように感じないだろうか。書き手はただ用件をストレートに書いているつもりでも,こうした「攻撃的メール」になってしまうことがある。 相手の気持ちを傷つける仕組み メールが相手の感情を害しやすいことには,心理学的な裏付けがある。 さわりだけ説明すると,まずメールに限ったことではないが,私たちは自分の仕事ぶりや成果物に対して注文を付けられたとき,人格そのものを否定されたように感じる。このことがフェース・トゥー・フェースの会話であまり問題にならないのは,相手の様子を見ながら話すため,常に言い方に気を配るうえに,「ちょっと言い方がきつかったかな」と思ったときにはすぐにフォローするからである。これがメールだと,相手への気遣いがそもそも働きにくいうえに,読み手が怒ったり落ち込んだりしてもすぐには分からないためフォローもない。 |