事前申し込みが殺到した日本語ドメイン名だが,実際に幕が開いたあとの盛り上がりはいまひとつ。Webブラウザなどは徐々に日本語ドメイン名に対応してきているが,最大シェアのInternet Explorerはいまだに対応していない。プラグイン・ソフトを別に組み込む必要がある。このため,パソコン・ユーザーが「http://日経BP.jp/」などと打ち込んでWebアクセスをしている姿はあまり見かけない。

英数字より日本語入力の方が簡単な携帯電話機が牽引役

 でも,こうした状況が一変するかもしれない。ただし,その牽引役はパソコンではなく,携帯電話機や情報家電になる。こうした機器は,キーボードを備えていない代わりに予測変換などと呼ばれる日本語入力ソフトを搭載することで,半角アルファベットを打ち込むよりも,日本語を入力する方が素早くできるようにしているからだ。

 携帯電話機などに組み込むことを想定したブラウザ・ソフトも,2005年に入って続々と日本語ドメイン名に対応し始めている。例えば,アクセスがこの1月に発表した携帯ブラウザNetFrontの最新版v3.3が,日本語ドメイン名に対応した。

パス名などにも日本語が使えるようになる

 さらにドメイン名だけではなく,ファイルやフォルダの名前,あるいはメール・アドレスなどの情報資源を特定するURIにも日本語などが利用できる国際化URI(uniform resource identifier)が,2005年1月にRFC3987として標準化された。つまり,「http://日経BP.jp/登録/」のようにパス名を含んだURLや,「鈴木@日経BP.jp」のようなメール・アドレスが利用できるようになる。

 この国際化URIは,国際化ドメイン名と同じ目的だが,仕組みは微妙に異なる。国際化ドメイン名は,入力されたドメイン名をWebブラウザが一定の変換法則で半角英数字(ASCIIコード)の文字列に変換する。Webブラウザが国際化ドメイン名に対応すれば,あとは既存システムをそのまま利用できる。

 これに対して,国際化URIでは入力された文字をUTF-8という方式でASCIIコードに変換し,1バイトごとに「%」を付ける。例えば「登録」の「登」という字は「%E7%99%BB」に変換される。この仕組みを実際に実現するには,変換するWebブラウザだけでなく,変換された文字情報を受信するサーバー・ソフトやOSも対応する必要がある。

 米Microsoftは2006年に出荷を始める予定の次期Windows(開発コード名:Longhorn)で国際化URIに対応すると表明している。市場ニーズの動向によっては,Longhornよりも前にInternet ExplorerなどのアプリケーションやIISのようなサーバー・ソフトだけを対応させる可能性もあるという。

 Microsoft以外のベンダーは,まだ対応を表明していないが,国際化URIが生活に溶け込む日はそう遠くはないような気がする。

(三輪 芳久=日経NETWORK)