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8割が役に立たないシステムを経験,「目的が不明確」「トップがダメ」「使い手を無視」が理由動かないコンピュータ・フォーラム(9)今回の「動かないコンピュータ・フォーラム」は,昨年12月に公開した前回の「「トップがダメだと動かないコンピュータが生まれるのか――動かないコンピュータ・フォーラム(8)」に,皆さんが寄せられたご意見を基に考えたいと思います。 前回のフォーラムには,170件を超すご意見をいただきました。ありがとうございます。少し遅くなりましたが,本年もよろしくお願いします。昨年末から今年にかけても,システムに関連する話題が新聞等を飾っています。残念ながら,その中には「動かないコンピュータ」に関連しそうな話題もあります。少しでも動かないコンピュータが減ることを願いつつ,このフォーラムを続けていきたいと思います。 役に立たないシステムは多い 前回の動かないコンピュータ・フォーラムでは,「完成はしたものの期待していた効果を出せていないシステム」がなぜ生まれるのかについて,問題を提起しました。そして,みなさんに実際にこういった問題を抱えたシステムにはどのようなものがあり,なぜそのようなシステムができてしまったのかをお伺いしました。 この設問に,いただいたご意見は172件。その約8割の132人の方から,「完成したにもかかわらず,ほとんど役に立ってないシステムを経験したことがある」との回答をいただきました。少し前のフォーラムで,自らの動かないコンピュータ経験について募集したときには,70件ほどのご意見しかありませんでした。何とかして動かすことはできても企業にとって有用ではないシステムの多さと,このテーマに対する関心の高さを再認識しました。 自分が経験した役に立たないシステムについての,典型的なコメントを以下にご紹介します。
システム構築にかかわったトップ・マネジメントの我田引水型システム構築に他ならない。構築当初から,利用部門の必要性や戦略より「**が構築した」ことのみ重要で,部門監視システムのようなシステム構築が目的で業務改善が目的ではない。完成後は「動くが使い物にならない,使いたくない,使っているふりをする」自己満足型システムになった。利用部門で,システムの問題は構築にかかわったSEの問題にされる。 (ユーザー)
実務担当者が作業を行っても管理職しかメリットがない商談進捗管理システム。最終的にはメールで報告するようになってしまった。 (ユーザー)
あまりに品質が悪かったこと。当初の顧客側の要望があまりに杜撰で欲しい機能を盛り込みすぎていたのは分かっていたが,担当PMの能力が低いがためにPM自身はそれを見抜くことさえできなかった.さらに設計の失敗やソースの品質の問題もあり,最終的にはかろうじて動くが役に立たないシステムとなった。 ベンダー 単に不要なシステムが完成するだけでなく,既存の業務に悪影響を与えるケースすらあります。「中途半端に使える」という表現をされていますが,業務効率を下げている以上,システムが業務改悪をもたらしたといえるでしょう。
全く役に立たないのなら使わないからまだいいのですが,中途半端に使えてしまうシステムというのも困りものです。Q2ではそういう意味で「ない」とさせていただきました。うまく設計すれば二次的な業務を激減でき,業務の効率化が実現されるはずですが(それも目的の一つのはずですが),中途半端なシステムを使わざるを得ないがために,二次的な業務がかえって増えるという本末転倒な状態に陥っています。事業部のトップがあまり情報システムに興味を示さないのもありますが,実は,情報システムの使い手はトップではなく,トップは実情を分かっていないという現実もあると思っています。現状を把握していない以上,問題意識も生まれ難い。また,全社的な情報システム部門が各事業部と深くかかわっておらず,情けないことに私の所属する事業部では情報システム専任者がおりません。掛け持ちで既存のシステムの保守をやろうとしていますが,それで太刀打ちできるような話ではないと思っています。 (ユーザー) 使えないシステムが生まれる理由はさまざま では,なぜこういった不要なシステムが生まれるのか。この点についても,様々なご意見をいただきました。なかでも記者が驚いたのは,システムを開発するのに,「システムを開発する目的がはっきりしていなかった」というご意見が何件もあったことです。以下に実際のご意見を紹介します。
1.目的が不明確。イメージだけで作ろうとする。2.システムがない時の業務執行体制ができていない。普段からきちんとした報告,業務管理,情報共有がされていなければ,システムができても同じこと。 (ユーザー)
お題目としての目的は示されるが,利用形態を想定したシナリオが示されない。トップや利用者部門がシステムを利用した時のイメージをほとんんど持っていない。 (ユーザー)
目的が曖昧。システム部門が主導しユーザ不在の要件でできあがってしまった。 (ベンダー) 目的がはっきりせずにシステムを開発すれば,役に立たないものが完成しても不思議はありませんが,一体どのような過程を経て,目的のはっきりしないシステムの開発が決まったのでしょうか。当然,こういったシステムは開発の際にもきちんとした要件定義などを実行することもできません。もしこういったことが日常的に起きているとすれば,日本企業のIT活用は未来永劫,不可能でしょう。 最近になって,情報システムの「見える化」といった言葉で,改めてシステムを開発する目的やその効果を定量化しようという試みが活発になっています。定量化の作業は,システム開発に関係する人間に従来になかった負荷を強いることになります。ですが,現実に目的のはっきりしないシステムがごく当たり前のように開発されているのであれば,システムの企画段階で,効果の定量化などを通じて目的を明確にさせる意味は大きいと思います。 泣かせるトップ,上司は開発部門の敵なのか? ではなぜ,目的のはっきりしないままシステムの開発が進むのでしょうか。いただいたご意見は大きく三つのパターンに分けることができます。 |