9月2日に「Windows XP Service Pack 2セキュリティ強化機能搭載(XP SP2)」が一般に提供されて約1カ月が経過した。あなたはもうこのXP SP2を適用しただろうか。現時点では,適用後に生じるトラブルが不安でまだ適用していない人も少なくないようだ。

 通常,サービス・パックは,バラバラに提供されている修正プログラムをまとめたものだが,XP SP2ではセキュリティ強化のため様々な部分の仕様を変更している。パソコン本体のBIOSやドライバ・ソフト,アプリケーション――など幅広い部分が原因で,正常に動作しないケースがある。

 しかし,XP SP2に関する情報はこの1カ月で劇的に増加した。パソコン製品ベンダーは,障害が出ない修正プログラムや設定による回避方法などを,Webサイトなどで続々と公開している。XP SP2の適用を成功させるには,これらの情報を確実に収集することである。各メーカーは,サービス・パックとはいえ今回のXP SP2に関してはOSのバージョンアップ並みの情報を提供している。できれば,パソコン本体,周辺機器,ソフトウエア――自分が使用しているすべての製品のメーカー・サイトをチェックしておきたい。

 そこでここでは「日経Windowsプロ」編集部の調査で分かってきたインストール前の効率的なチェック方法を解説しよう。ポイントは,重大な障害を重点的に調べることだ。あまりに利用中の製品の数が多い場合や時間がない場合は,優先度を付けて順番に収集するとよい。

比較的重大なトラブルが起こる原因は,パソコン本体が原因

 まず,比較的重大なトラブルが起こる原因は限られている。主なものは,OSが起動しない,周辺機器が正常に動作しない――などである。

 OSが起動しなくなるような面倒な障害はパソコン本体が原因であることが多い。具体的には,NECの「VALUESTAR TZ」シリーズ,ソーテックの「Afina AC4000」のうち2.8E G/3.0E G/3.2GHzのPentium 4を搭載する製品と「同AC4280AR」,松下電器産業の「Let's note CF-R1R」「同CF-R1P」「同CF-A3」が挙げられる。

 NECの上記パソコンでは,あらかじめBIOSを書き換えておけば問題は解決する。このPCはCPUにAthlon 64を搭載しており,XP SP2を導入するとハードウエアによるセキュリティ機能がオンになるのが原因である。BIOS書き換え前にXP SP2を導入した場合は,Windowsをセーフ・モードで起動してからXP SP2を削除する。boot.iniを書き換えてから,BIOSを書き換える方法でもよい。

 ソーテック製の上記PCもBIOSの書き換えが必要である。こちらは,マザーボードのBIOSが未対応のステッピングのCPUを使っていることが原因で,OSが起動しなくなる。松下製PCは,サウンド・ドライバのアップデートで対応できる。

 周辺機器にはいくつかトラブルが出やすい種類がある。比較的注意が必要なのは,IEEE 1394インターフェースである。IEEE 1394インターフェースにディスクをつないでいるユーザーは当分の間,運用に気を付ける必要がある。「休止状態から復帰後にIEEE 1394接続の外付けハードディスクが使用できない」という障害が報告されているからだ。10月4日時点では「休止前に周辺機器の電源を切って下さい」という対処しか提示されていない。

 無線インタフェースのBluetoothにも注意が必要だ。パソコン本体に付属するユーティリティがXP SP2で追加された新機能(プロフィール)に対応していないためにエラー・メッセージが表示される,XP SP2の初期設定で「発見機能を有効にする」にチェックが入っていないため今まで接続できていた機器が使えなくなる――などの問題が報告されている。

 他には機種によって,サウンドが鳴らない,休止状態から復旧した場合にディスプレイへの表示ができない,メモリー・カード・スロットが使えない――などの障害が出る可能性がある。意外なところでは,XP SP2適用後にカラー・プリンタでの印刷時の色が変わったというものもある。これらは,各機能の限定的な障害にとどまり,製品固有の原因が多い。ほとんどの場合,デバイス・ドライバをバージョンアップすることで対応できる。