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 6月14日に記者が執筆した「あなたは使いますか? 会社から貸与された携帯電話」には読者の皆様からたくさんのご意見を頂戴した。さらに本記事と連動して日経コミュニケーションのWebサイトで収集したアンケートにも,先月までの回答数を大きく上回る方々にお答えいただいた。まずはこの場を借りてお礼を申し上げる。

 さて,先日の記事に対する皆様からのご意見を読んで,日ごろ持ち歩いている携帯電話に対して,個人の考え方から思い入れ,そして使い方に至るまで非常に大きな差異があることを思い知らされた。頂戴した記事に対するコメントにも触れながらアンケートの結果を報告する。

 なお,本アンケートの回答者は日経コミュニケーションのWebサイトの読者とIT Proの読者が中心であることを前提にお読みいただきたい。

「携帯電話を2台持ち歩く」には約半数が抵抗感

問1●あなたは現在,会社から法人契約の携帯電話機(PHSを含む,ただし内線しか利用できないものは除く)を貸与されていますか。
問2●あなたが会社から携帯電話を貸与された場合(されている場合),法人契約と個人契約の携帯電話を2台持ち歩くことに抵抗感はありますか。
 まず問1の会社から携帯電話を貸与されているかどうかについて,有効回答717件の半数強が「貸与されている」を選んだ。

 さらに,問2の携帯電話を2台持ち歩くことに対する意識では,半数強に上る50.3%が「抵抗感はない」を選んだ。ただし「抵抗感がある」を選んだ回答者の数も僅差の48.5%。回答者の意識は大きく二つに分かれていた。

 では,現実の運用方法を見てみよう。会社から携帯電話を貸与されている回答者に外出先で持ち歩く携帯電話について聞いたところ(問3-1),7割弱が「法人契約と個人契約の両方を持ち歩いている」と答えた。前回の記事で記者は『ここで疑問になるのは,本当に2台の携帯電話を使いこなすことは可能なのだろうかという問題である』という疑問を呈した。しかしアンケート結果からは,3人に2人は携帯電話を2台使っている現状が明らかになった。記事に対するコメントでも「特に不便は感じない」,「2台持ち歩くことが当然」といった意見をいくつも頂いている。

 その一方,2割強は「企業から貸与された携帯電話だけを持ち歩く」,さらに約1割は「個人が契約した携帯電話を持ち歩く」と回答。合わせて3割強は持ち歩く携帯電話を1台で運用していることになる。推測だが前者の場合,個人契約の携帯電話を解約することも含めて普段使う携帯電話を会社貸与ものだけに一本化しているものと見られる。後者は,コメント欄への意見などから推測すると,会社から貸与された携帯電話の着信を個人の携帯電話に転送するという運用にしている場合が多いようだ。


問3-1●あなたが普段会社の外で持ち歩いている電話機はどれですか。

 2台持ち歩くことに「抵抗感がある」と答えた回答者に限って見ると,46%は個人契約または会社契約の1台だけ携帯電話を持ち歩く運用にしていた。2台持ち歩くことに「抵抗感はない」と答えた回答者の約8割が携帯電話を2台持ち歩いているのとは対照的だった。

 携帯電話事業者は,法人市場の拡大を今後の大きな目標として据えている。安定した法人顧客を確保するというだけでなく,伸び率が頭打ちになっている携帯電話契約数を法人契約の開拓で後押ししようという思惑もある。ユーザーの多くが携帯電話を2台持つことをいとわないのであれば,法人契約の増加に伴って契約数も上乗せできるだろう。

7割以上が「通話料はすべて会社負担」

問3-2●会社貸与の携帯電話では通話料をどう運用していますか。
問4●もしあなたの会社が携帯電話会社と法人契約を結び,会社から携帯電話を貸与された場合,あなたの携帯電話の使い方は下のうちどれが近いと思いますか?
 前回の記事を書く上で記者が取材した,携帯電話を貸与していない企業のシステム担当者は,一部のユーザーによる“使いすぎ”を懸念していた。既に携帯電話を貸与している企業からは「携帯電話からの発信コストが全社の通信コストの中で高い割合を占めることに気が付いた」という声も聞こえてきた。部署単位で契約することが多い携帯電話のコストは,システム部門が全社的に契約する固定通信のコストに比べて顕在化しづらいという側面があるようだ。

 では通話料の費用負担の方法はどうだろうか。アンケートでは7割以上の回答者が「制限なくすべて会社が負担する」を選んでいる(問3-2)。業務で使う携帯電話である以上,通話料を全額持つという考え方の企業が多いようだ。

 その一方,「公私分計」や「一定額以上は個人が支払う」といった方式を取り入れているとの回答は1割程度。「その他」の自由記述意見にあった,「あまりに使い過ぎると会社から調査が入る」「通話料が一定額を超えると警告がある」という回答も足し合わせると4分の1近くに上った。上限の設定や公私分計,さらには個人利用の使い過ぎを会社がチェックする場合があるといった「緩やかな防止策」を講じて,一部の使い過ぎを抑えている企業も少なくないようだ。

 ただ先日の記事に対するコメントでは,会社から携帯電話を貸与されるユーザーの立場で「私用と社用の通話は分けるのが当たり前」という意見を多数いただいている。こういう意識で利用する社員ばかりなら,システム部門のコストアップに対する心配は杞憂に終わるだろう。

 最後に,現在携帯電話を貸与されていない回答者に,会社から携帯電話を貸与された場合の運用について聞いてみた(問4)。一番多かったのは「法人契約の電話機と個人契約の電話機の両方を持ち歩く」という回答で8割を超えた。現在携帯電話を貸与されている回答者よりも携帯電話を2台持ち歩くという割合が高かった。

(松本 敏明=日経コミュニケーション)