システム開発現場でプログラミングを担当する技術者にとって,開発支援ツールは欠かせない道具の一つだろう。統合型の開発ツールであれば,専用のGUI画面上でプログラムの記述やデバッグまでの作業を一貫して行うことができる。テキスト・エディタでもプログラミングはできるが,生産性を高めるには開発ツールの活用は不可欠と言えよう。

 では今,技術者の間で人気が高く,幅広く普及している開発支援ツールはいったい何だろうか。

 その疑問に答えるため,日経システム構築は,「システム開発支援ツールの利用実態アンケート」(調査の概要閲覧および回答はこちらのページから)を実施中だ。現場の技術者がどのようなツールを使いこなし,そして効果を挙げているのかを探るのが目的である。

 アンケートでは,プログラミングを支援する開発ツールだけでなく,設計ツールやテスト・ツールといったシステム開発に関係する開発支援ツールの利用状況と満足度を尋ねた。アンケート対象者は,仕事として「プログラミング」「システムの概要/詳細設計」「テスト」のいずれかに従事している技術者である。

無償ツールが根付く?

 アンケートを実施するにあたって,筆者がこの分野で調べたいと思っているポイントをいくつか紹介しておきたい。

 一つは,無償のツールを活用している技術者がどれだけ増えているかということだ。例えば,取材などの感触では,開発基盤を「J2EE(またはJava)」環境に絞ると,オープンソースの統合開発環境である「Eclipse Platform」の利用者が増えていると感じている。

 Eclipseは無償で入手できるため気軽に試せる。だが,単に無償だからという理由で利用者が増えているわけではなさそうだ。リファクタリング機能の向上やプラグインの数が増えるなど,継続して機能が拡張されている。こうした点を,実際の開発者はどのように評価しているのだろうか。

 もう1つ気になっていることがある。それは,テスト・フェーズにおいてツールの活用が根付いているのかどうか,である。そもそも,テスト・フェーズでツールの活用は進んでいるのか。使っているとしたら商用ツールなのか,それとも無償ツールなのか,を明らかにしたい。

 単体テストや負荷テストなどを支援する商用ツールは,多機能ではあるが値段が張る製品も多い。それら有償ツールを活用しているユーザーがどれくらいいるのか,そしてツールの効果に満足しているのだろうか。それを調べたい。

 テスト・フェーズを支援する無償ツールも充実してきている。例えば,単体テストでは,Java言語プログラムのテストを支援する「JUnit」,連続稼働時の挙動などを確認する「負荷テスト」においては,「JMeter」や「Microsoft Web Application Stress Tool」などがある。その他,ソースコードのバージョン管理などの用途には,オープンソースのツール「CVS」がある。

 システム開発の一部の分野においては,無償ツールの利用が進んでいるのかもしれない。とはいえ,有償の商用ツールが不要になったわけではないはずだ。特に,開発基盤を「Windows.NET」環境に絞ると,開発支援ツールにVisual Basic.NETやVisual C#.NETなどの商用ツールの利用者が大勢を占めると思われる。用途によって,商用/無償ツールの使い分けが進んでいると見るのが自然だ。

 読者の皆さんは,開発支援ツールの利用実態について,どのように予想されているだろうか。本記事を読んだエンジニアの方(「プログラミング」「システムの概要/詳細設計」「テスト」のいずれかに従事されている技術者の方)にも,アンケートにご回答いただいた。結果は,日経システム構築8月号で集約して掲載するほか,このIT Proサイトでも概要をご報告します。

 最後に,アンケートにご協力くださった皆さまには改めてお礼を申し上げます。

(菅井 光浩=日経システム構築)

【追記:2004-08-03】
こちらのページにアンケートの結果を掲載しました。どうぞご覧ください。