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記者の眼

“SEデフレ”を乗り切るカギは,ビジネス・スキル

中山秀夫 2004/03/22 ITpro

 「えっ,“SEデフレ”って何だよ? まったく縁起でもない。そんな言葉,絶対に流行らせるなよ」。先日,中堅システム・インテグレータでSE(システム・エンジニア)をしている古い友人と会ったとき,こう釘を刺された。

 その友人は30代前半で,SEとして脂が乗った時期を迎えつつある。仕事ぶりは熱心そのもの。たまに休みの日があっても,1日中,技術解説書を読みふけって過ごすほどだ。仕事への意欲には,まったく脱帽である。

 にもかかわらず彼の年収は,ここ数年,下落傾向にあるという。「1999年ごろのピーク時には800万円だったけれど,今はそれより2割ぐらい下がってしまった」と友人。それを聞いた記者が「まさに“SEデフレ”だな・・・」とつぶやいたところ,冒頭のように友人の琴線に触れてしまった──。

進行する“SEデフレ”

 “SEデフレ”という言葉は,聞き慣れない人が多いかも知れない。これは,「SEを極める50の鉄則」(日経BP社)の著者である馬場史郎・グローバル ナレッジ ネットワーク副社長の造語だ。

 国内の情報化投資が頭打ちになったことで,システム開発案件の受注競争が厳しさを増しているのはご承知の通り。特にその影響を受けているのが,下請けとなる中堅以下のシステム・インテグレータやソフトハウスだ。海外でのオフショア開発の進展もあり,元請けからの値下げ圧力は極めて高い。これが人月単価のたたき合いを生み,ITエンジニアの収入減に直結している。SE(ここではITエンジニア全般の意味)が供給過剰となり,デフレ状態に陥っているのである。

 最近では,元請けのシステム・インテグレータの幹部から「職種によっては,国内のITエンジニアの賃金は中国やインドのITエンジニアのレベルにまで下がりつつある。近い将来,オフショア開発は必要なくなるのでは」という声も聞こえてくるほどだ。実際に統計で見ると,ITエンジニアの平均収入はここ数年,減少の一途をたどっている。情報サービス産業協会(JISA)の調査によると,1998年度には35歳のITエンジニアの平均年収は約585万円だったが,4年後の2002年度は約9.0%減の約532万円だった。30歳の平均でも約6.5%,25歳では約2.8%下がっている。

年収はビジネス・スキルのレベルと比例する

 こうした状況に,ITエンジニアはどう立ち向かえばよいのか。当たり前だが,やはりITエンジニアとしてのスキルを高めることに尽きるだろう。優先すべきはITのスキルを高めることだが,それだけでは不十分。コミュニケーション力やネゴシエーション,リーダーシップといった,ほかの業種にも共通するビジネス・スキルの習得に努める必要がある。

図●ビジネス・スキルのレベルと年収の関係
スキル調査研究会が2003年5~6月にかけて実施した「第2回ITスキル調査」の結果より(有効回答数9674人)。年収とビジネス・スキルのレベルは正比例することが見て取れる。つまりビジネス・スキルのレベルを高めることで,ITエンジニアとしての価値が高まる
 ここに「ビジネス・スキルのレベルと年収は比例する」というデータがある。[拡大表示])を見てほしい。これは日経ITプロフェッショナルや調査会社のザ・ネットなどで構成した「スキル調査研究会」が国内のITエンジニアを対象に2003年に実施した「ITスキル調査」の結果の一部だ。9674人の有効回答について,コミュニケーション,リーダーシップ,ネゴシエーション,セルフ・コントロール,ロジカル・アプローチ,ビジネス・プランニングという6つのビジネス・スキルのレベルと回答者の年収の関係を表した。

 どちらが要因でどちらが結果かという因果関係はさておき,年収が高いITエンジニアほど,ビジネス・スキルのレベルも高い。ビジネス・スキルのレベルを高めることで,ITエンジニアとしての価値が高まると言える。

特に重要なのは,文章と図解のスキル

 前出の馬場史郎氏も,「ITエンジニアにとって最も重要なのは技術力」と前置きしたうえで,「ビジネス・スキルを兼ね備えていることがITプロフェッショナルとしての必須条件だ」と話す。

 ビジネス・スキルといっても幅広いが,馬場氏が特に重要と指摘するのが,文書の作成技術。つまり,「文章や図を書くスキル」である。情報システムの開発プロジェクトには,ユーザー企業,システム・インテグレータ,ベンダーなどから大勢の人が参加する。それら多くの関係者の間で正確に情報を共有するには,会議での口頭伝達よりも文書が要になる。そのため分かりやすく正確な内容の文書を作ることが,周りの信頼を得るカギになるというわけだ。

 しかも文書や図を書くスキルは,ITエンジニアとして最も重要な「考える力」の向上にもつながる。文書に表すプロセスを通じて自分の考えが整理され,理解できていないことが浮かび上がってくるからだ。

 文書作成をはじめとするビジネス・スキルの重要性については,記者が指摘するまでもなく,認識しているITエンジニアは少なくないだろう。実際に日経ITプロフェッショナルの読者アンケートでも,ビジネス・スキルの解説記事を求めるニーズが高い。

 最後に,ビジネス・スキルに関する本の宣伝をしたい。日経ITプロフェッショナルは読者の声に応えるため過去に,図解,文章,コーチング,タイムマネジメント,会計,法律という6つのビジネス・スキルについて特集記事を掲載した。いずれも読者の方から高い評価を受けており,このほどそれらの特集記事を一部改変したうえで1冊にまとめ,「SEを極める最強仕事術」と題して発行した。皆さんがITエンジニアとしての価値を高め“SEデフレ”に立ち向かう一助になると確信している。ぜひ,ご一読いただきたい。

(中山 秀夫=日経ITプロフェッショナル)

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